セルフビルドを「一人」でやるために

自分で家を建てる、あるいは自分で小屋を作る・・・セルフビルドは夢があってワクワクしますが、その実現可能性を考えるときの要因のひとつに、「一人で出来るだろうか?」という心配がありますよね。

これもケースバイケースだから簡単に答えが出るわけではないんですが、工夫次第でかなりのことが一人でも出来るようになります。
このページではそのことについて、私の経験からいろんなことをお話してみたいと思います。

手伝いの人数が多ければいいのか?

もちろん、セルフビルドは一人でやるものと決まっているわけではなく、気の合った仲間とワイワイ楽しくというシチュエーションもあるでしょう。
みんなでやれば作業効率も格段にアップするし、楽しさも倍増! 
仲間たちと力を合わせて何かを作り上げていくのは素晴らしいことだと思います。

しかし、建てるものが皆で使う予定の山小屋とか集会所でもない限り、いつも仲間たちが集まるなんてことはまずないのではないでしょうか。
皆それぞれ忙しいのだし、まして誰かの自宅を建てる作業を、いつも友達が手伝いに来てくれるとしたら、よほど恵まれた人でしょうね。
滅多にそんな人はいないことでしょう。
多くの場合、セルフビルドは一人で黙々と作業をこなす必要があるのです。


それに、人手が多いということは必ずしもメリットばかりではないのです。
いやむしろ、人手が「必要以上に」多いと、デメリットのほうが心配になります。
プロの現場なら人数が多いほうがそれだけ戦力が大きいということになるでしょうが、素人のセルフビルドに素人の手伝いが大勢集まると、それだけ危険が増すのです。
施主本人がいくら気をつけていても、周りに目が行き届かなくなります。
大勢が狭い場所にひしめき合えばもちろん危険だし、まして刃物工具を持っていたりしたら・・・

危険性だけでなく、作業そのものも、細かいところまでうまく指示が伝わらず失敗することがあります。なにせ素人の集まりですから。
私の自宅建築の時もこれで失敗したことがあります。


そういうこともあり、私個人的にはセルフビルドに大勢の友達が集まるというシチュエーションは好みではありません。 気が気でないのです。

理想的には、本当に気心が知れた、しかもある程度技術や経験のある友人と2名または3名くらいまでで行うのが最高だと感じています。
このくらいが一番効率よく、楽しく作業ができますね。

私の場合は、幸いそういう素晴らしい友人が一人いましたが、それでも全行程の99%は自分一人で黙々と作業することになりました。
セルフビルドは基本、孤独なのです。

一人ですから当然、作業効率は落ちます。
何も工夫しなければ、効率が落ちるだけでなく、作業そのものが出来ないという場面がたくさんあります。
それは主に、大きなもの、重いもの、長いもの・・・これらをどうやって一人で保持し、所定の位置に取り付けるかということですね。
だから孤独セルフビルドには必ず、一人でやれるようにするための工夫が必要なのです。

私のセルフビルドの経験からいくつかご紹介します。

一人作業のための工夫

長い板などの取付け

破風板
例えば屋根の「ケラバ」部分に破風板を取り付けるようなときの一工夫です。

板の長さが4mもあるので、野地板と高さをピタッと揃えて釘打ち固定するのは、一人ではなかなか難しいです。
二人いれば、それぞれが板の両端を持って、高さを合わせて固定すれば良いだけなんですが、一人だと、一方の高さを合わせようとしても、4mの板の自重で他方が垂れ下がったりして、うまくいかないんですよ。

破風板に板切れを仮止め 破風板を取リつける

だから地上であらかじめ、破風板にコンパネの切れ端でも何でもいいから、2か所ほどビス留めしておきます。
それを野地板に乗せかけると自動的に高さがそろうし、板の重みを支える必要もなくなり、楽に正確に釘打ち固定することができますよ。(^^)v

仮止め治具の利用

仮止めのための手作り治具 垂木の下地を取り付ける

こちらは既存の小屋に下屋屋根を追加するためのタルキ受けを設置するところ。

タルキ受けは2×8材を使用したのでけっこう重い!
こういうときも、一人作業の定番お助けグッズ・・・『仮止め治具』を仮止めします。
仮止め治具に2×8材を乗せ掛け、自分はもう一方の端(画像奥側)に移動し、墨線の位置で材をビス留め。
次に、仮止め治具の位置に戻り、材を固定したら、仮止め治具をはずす・・・という手順。

この方法なら、一人でもいろんな作業をラクに出来ちゃいます。

壁合板の固定

壁合板を仮止めするための木片

同じように、壁合板を所定の位置にきちんと貼ろうとするときも、何か支えがあると断然やりやすいです。
こういう場合は私は、土台材の側面に木片や釘・ビスなどを水平に打ち、その上に壁の合板を乗せかけて釘打ちします。

念のため、最初だけは柱にも合板の切れ端を正確な垂直になるよう仮止めし、そこに構造用合板を押し付けるようにして固定すれば安心。
最初の一枚がズレてると、後々すべてに影響するからね~

鉄筋の組立て

高さ合わせ治具を用いた、鉄筋組み立て作業 組み立て筋の配筋

こちらは鉄筋組立の風景。
上部に配置する主筋を正確な位置に固定するためには、組立筋を結束し終えるまでの間、なにかで保持しておく必要があります。

こんなときの私の常とう手段は、コンパネで簡単な治具を作りフーチンの上に乗せます。もちろん主筋が設計高さに来るように寸法を調整するのです。
そしてこの上に主筋を乗せた状態で組立筋を結束し終えたら、コンパネ治具を横に静かに抜き取ります。これでOK(^^)v


天井材の取付け

天井材取り付けの様子
天井材とつっかえ棒の関係つっかえ棒の使い方模式図

天井に石膏ボードのような重い天井材を一人で固定するのは、なにか道具がないと無理。
プロは電動のボードリフターなどを使うこともあるでしょうが、そんな高価なものに出費するわけにもいかず、私はイラストのようなつっかえ棒を自作して使っています。

① まず脚立に乗った状態で910×910のボードを手で天井下地に押し付け、片方の手で素早く突っかえ棒を引き寄せてボードにあてがう。

② つっかえ棒の下端を床の上で滑らせて引き寄せることで、ボードがしっかりと下地に押し付けられる。

突っかえ棒の上端には天井ボードを傷つけないようにクッション材(ボード系断熱材の端材がGood)を接着しておき、また、床を傷つけないようコンパネや段ボールを敷いておくと良いです。
棒本体が2本に分かれているところがミソ。 施工する場所の天井高さより少しだけ長くなるようにビスを打ち替えれば、どの部屋の天井にも使えるし、収納もコンパクトにできる便利グッズとなりますよ♪

2×4の壁パネル建て起こし

ツーバイフォー工法の壁建て起こし

2×4工法ではプラットフォーム上で組んだ壁パネルを起こす、『建て起こし』の作業が人手を多く必要とするわけですが、一人でやる場合は、一人でも起こせるくらいのサイズに分割したり、スタッド(2×4材の骨組み)だけ作って建て起こし、後からパネル(壁合板)を張るという手があります。

ただし、スタッドだけで建て起こすと直角がゆがむ怖れがあるので、一部分だけでも先に合板を張っておけば、直角は維持され、重量もそれほど増えないから便利。

また、壁パネルを複数に分割するということは、本来スタッドが1本で良いところにダブルで2本立つことになるので、寸法の配置をあらかじめ細かくチェックしときます。
壁パネル天端には『頭つなぎ』を取り付け、もちろん隣り合ったスタッドどおしも釘やビスで固定して一体化させ、パネルを分割したことによる強度的弱点を消します。
これも一人セルフビルドの工夫のひとつかな。

筋交い材への墨付け

筋交い端部の斜めカット部分は、現物合わせで墨付けするのが一番簡単で速いですが、一人作業だとこれがどうしてもうまく出来ません。
でも、もちろん一人でやる方法はあります。
詳しくはこちらのページに書いてありますので、ご参考にどうぞ
 ⇒ 筋交い端部の墨付け方法 

それでも、一人では出来ない作業もある

セルフビルドが一人で完結できるか? と問われても、建てるものの規模によるので一概に答えはでないと思います。
やる人の能力や体力、身長などでも違ってくるでしょう。
中でも、足場の架設や軸組工法の棟上げ、生コン打設、各種測定の作業などは、一人では難易度の高い部類に入りますね。

そうい作業は、無理してセルフにこだわらず、部分的に業者に依頼するとか、レンタルを有効活用するとかして乗り切ればいいのではないでしょうか。
当然お金はかかりますが、安全性確保、時間と労力の節約に大きなメリットがあるはずです。

棟上げ

例えば建設機械リース店では2~3万円程度で4tユニックが借りられるので、玉掛けや移動式クレーンなど免許のある人は、棟上げなどに有効活用できるでしょうし、店によってはオペレーター付きでレンタルできるところもあるみたいですよ。

足場

しっかりした足場があれば外壁や破風などの作業がやりやすいですが、足場の架設+レンタルを足場業者に依頼することができます。
こういうものは借りる日数が長くなると費用がかさむので、セルフビルドの作業工程を事前にちゃんと考えておいて、外壁などの、足場を使う作業を短期集中してやってしまう。⇒ 費用の節約になる。 ・・という方法もあるわけです。

コンクリート打ち

生コン車を呼んで型枠内に生コンを入れる作業は、生コンプラントを出てから1時間半以内に負えないといけないので(時間がたつと生コンが固まってくるため)、短期決戦です。
よほど小さな規模、少ない量ならともかく、普通、一人では対応しきれないです。
私の経験上、生コン打設の人的限界は、私と妻の二人で1立法mの生コン打ちを8月にやったことがあります。これがほぼ限界点かな・・という感じでした。これ以上多いと2人では足りないでしょう。

測定補助員

測定作業とは、例えば何かの長さを測るときに巻尺の端部を持っていてもらうとか、高低差を測るときにバカ棒を持っていてもらうといったことなんですが、これらは工夫次第で一人でも出来なくはないですが、効率がすごく悪くなります。
この程度の軽い作業は非力な女性でも楽勝なので、なんとか拝み倒して奥さんや彼女などを引っ張り出せばいいんじゃないでしょうか(^^)
そういう能力(?)も、セルフビルドには必要ナノダ・・・・なんちゃってね。(^^ゞ

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