素人が家を作って、欠陥住宅にならないか?

 
自分で作業して家を建てる・・・つまりセルフビルドの場合、技術も経験も未熟な素人がつくるんだから欠陥住宅になるかもしれない・・とは誰もが心配すると思います。

せっかく多くの労力と時間とお金をかけて造り上げた家が、欠陥住宅だったら泣くに泣けない。

でも、よく考えてみると「欠陥住宅」って何でしょう。




テレビで取り上げられる欠陥住宅では・・・

土台が傾き、床にビー玉を置くとザーッと流れてゆく。

床下が腐って歩くとボコボコ沈む。

雨水が壁の中に浸透して柱が腐り、カビが大発生する。そのために悪臭ハウスになっている。

戸が閉まらない。

キッチンが暗い。などなど・・

    こんな家になってしまったらどうしよう。



家一軒を基礎からすべて自分で造ってみた経験からいうと、素人が自宅を造っても、上記のように生活を直接脅かすような重大な欠陥が生じる可能性は極めて低いと考えます。

なぜなら、重大な欠陥が生じる原因は、ほとんどが手抜きか、極端な無知によるものと考えられるからです。



屋根、外壁、窓、断熱材、建具、床束(床下の支え)は、欠陥住宅の例として取り上げられることが多い場所ですが、

これらはよほど特殊な内容(例えばかやぶき屋根など)でない限り、工業製品の材料を使用することになります。

そうするとメーカーが作成する施工説明書が必ず付いてきます。

施工説明書には施工手順が図解入りで詳細に書かれており、そのとおりに施工すれば欠陥が生じる可能性は極めて低いと言っていいでしょう。

メーカーは、製品が原因で住宅に欠陥が生じることは絶対避けたいので、施工説明書にはこれでもか!というくらい念入りな手順が示されています。




例えば窓(サッシ)については、窓まわりからの雨水の浸入を完全に防ぐために、サッシとタイベック(透湿防風シート)を専用の防水テープで完全に密着させること。

その上で、外壁材とサッシとの間に10ミリ前後の隙間をあけて、隙間にバックアップ材を挿入してからコーキングすること・・などが図解入りで明記されています。

テレビで見た欠陥住宅は窓周りから雨水が浸入し、柱が腐ってシロアリが大繁殖していました。

専門家が調べてみると、外見はきちんとコーキングされているのに、透湿防風シートとサッシが密着されていませんでした。


つまり、本来は二重に防水処置されるべきところを、外から見える部分だけ施工して内部は省いていたのです。

これなどは完全に手抜きか、あるいは職人が無知で、施工説明書も読まずに適当にやったとしか思えません。



また、床束(1階床下地と土間コンクリートの間に立てる部材で、床荷重を支える)は、最近は腐らないし強度もあるということで鋼製やプラスチック製のものが主流になり、

我が家でもこれを使っていますが、これも施工説明書に従って普通に施工していれば、問題が起きるとは到底考えられないシロモノです。

欠陥住宅で床がボコボコ沈むなんていうのは、よほどの手抜きと考えられます。

テレビで見かける、床束の下が土間コンクリートに着いておらず、木片を挿し込んでその場しのぎをしていたなどという話は、悪意ある手抜きではないでしょうか。



サッシの防水処理にしてもコーキングにしても、あるいは床束の施工にしても、素人は全くはじめての経験になるわけですが、特段難しいものではありません。

材料が届いたらいきなり本番の施工をするのではなく、端材を使って少し練習してみればいいです。すぐにコツがつかめるようなものばかりです。


工業製品ですから、取り付けに熟練の技が必要なものは、そもそもつくるはずがありません。



では、施工説明書もなく、完成品を取り付けるだけではない作業、つまり基礎工事や木造軸組みについてはどうでしょう。


これらは家本体を構成する極めて重要な部分で、基礎や軸組みがいいかげんだと地震の際に倒壊しかねないわけですから、素人が施工するのは確かに怖いと思いますよね。

これについてはズバリ、自信がない方はプロに頼みましょう。

基礎だけ、軸組みだけを部分的に依頼するのです。

軸組みについては、プレカット会社に依頼すれば、正確に刻み加工された構造材を労せずして準備できますし。(もちろん径費はかかるけど)



しかし、基礎や軸組みだって、その気になれば自分でできるのです。

(軸組みのうち、刻みについては自力施工が可能です。
しかし、材料を組み上げる「建て方」作業は、高所で危険が伴うことから専門家に依頼するのがいいと思います。)


ただ、軸組みをやるには、木材の基本的性質を理解して、材料のどの面を上にするかとか、どこにどのような継ぎ手・仕口をつくるかといったことを決めなければなりません。

そういう作業は、「熟練を必要とする」まではいかないけれど、ある程度勉強が必要です。

しかし、今はプロでさえこの作業はプレカット会社に任せ、自分たちで刻みをすることはまれになりました。



あるいは構造体を、比較的簡単だとされる2×4工法(ツーバイフォー工法)でつくるという手もあると思います。



テレビなどでよく見聞きする欠陥のうち、基礎工事や軸組みという、一番重要な構造部分に関するものの例では、

基礎のフーチン(ベースの部分)の幅が狭いか、無い!

鉄筋の「かぶり」がとられていない。

アンカーボルトの本数不足、または場所が不適当。
全周換気のために基礎パッキンを用いたが、柱の下やアンカーボルトの場所など、絶対入れなければならない箇所にパッキンが入っていない。

軸組みを緊結するボルト類の締め忘れ、あるいは緩み

筋交いを釘だけで固定している。あるいは筋交いが不足している。

耐力壁の不足。つまり建築確認の図面とは違う建物になっている。


     ・・・等など


これらは、基礎施工業者と軸組みを業者間で連絡調整がとれていないとういうこともあるでしょうが、ほとんどは、施工する側の無知か手抜きとしか考えられません。



素人が造ったとしても、ある程度勉強して取り掛かれば、普通に考えたらこんなことは絶対やらないはずです。

素人は自宅を造るので、誠意と熱意は人一倍持っています。手抜きなど有り得ません。


今は軸組みの固定に用いる建築金物も優れたものが数多くあるし、コンクリートだって生コン会社から配合を指定して買えば信頼できる品質のものが手に入ります。


構造のしくみをちゃんと理解して、手抜き施工をしなければ、素人のDIYでも十分しっかりとした家は建てられます。

素人が構造材の刻みを行い、もし精度が悪くてきちんとはまらない部分があれば、その部分を造り直すしかありません。つまり、そのままにして建ててしまうことはありません。

「欠陥住宅」にはなりません。



さて次は内装仕上げの欠陥について考えてみます。


プロは仕上げの完成度がとても高く、細かいところまできっちりと仕上げることができます。

その点、素人は技術が未熟だから、仕上げの見栄えはどうしても劣ります。

もしこれが、借金までしてプロに頼んでつくってもらった家だったら?


おそらく、とても小さなことでもいちいち気になって、そのたびに工事をした工務店に電話をかけて直させるか、

工務店側の出方によっては険悪な状態になるか、あるいはあきらめて泣き寝入りするか・・

とにかく、とても心穏やかではいられないでしょう。



せっかく高いお金をかけて、30年もの気の遠くなるようなローンを組んでまでした高い「買いもの」なのに、なんでこんな目にあわなくちゃいけないんだ・・と。

人は心穏やかでいられると楽ですが、そうでないと苦痛を感じます。

欠陥があった場合、欠陥そのものによる苦痛もさることながら、せっかくお金をかけたのに、かけたお金の対価に見合うだけの成果になっていない。面白くない! 

という精神的苦痛も二重にかかってくるでしょう。



では、自分でつくった場合はどうなるか。

仕上げの完成度に関する「欠陥」ならば、それは愛嬌の世界と映ります。

実用上困らないのであれば、なんの苦痛も感じません。

仕上げの細かい部分の見栄えが多少悪かったり、あまり普通の家ではみかけないようなつくりになっていたりしても、

それはむしろ自分の技量や感性のプロフィールであって、決して「欠陥」ではありません。



誰かが訪ねてきたとしましょう。

普通の家とちょっと違う状態を見ればそれはあくまで「個性」とか「愛嬌」の範疇で、客人はおそらく決して仕上げの完成度が低いといってなじったりしないでしょう。

住んでいる自分たちのほうも、仕上げの完成度がこの程度だということは、自分の技量が正確に作品に反映された結果であって、
あたりまえのことだから、心穏やかでいられます。

まずいところは、今後楽しみながらあそこを直し、追加し、改造したりといろいろできます。

また、それが楽しみでもあるのです。

つまり、同じ内容でも、プロが他人のためにつくった場合に「欠陥」になるものでも、自分で自分と家族のためにつくったものであればでは欠陥ではないのです。



そもそも、棲家という基本的に必要なものに関して、はじめから高価で完璧なものがポンと与えられて、

中がどうなっているかわからないから自分で治したりいじったりできず、与えられた以降はただ価値が下がっていくだけというのは気持ち悪い。

その正反対に、はじめは不完全だが徐々に改良されて価値も愛着も高まってゆく。

自分ですべてコントロールできる状態に置かれているというのが、私は理想的だと思うのですが・・



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セルフビルドのための豆知識
 【目次】


設計って、何をすればいいの?(1)

設計って、何をすればいいの?(2)

家の設計図を描くには?

必要な図面の種類とは?(1)

必要な図面の種類とは?(2)

欠陥住宅にならないか?(1)

欠陥住宅にならないか?(2)

欠陥住宅にならないか?(3)

道具は何が必要?

バックホウを運転するには?

バックホウ運転資格取得講習体験記

生コンの「配合」って何?

鉄筋を加工するには?

工期が長いのは悪いことか?

「力」が必要なのはどの部分か?

重い材料を扱うには?(材木)

重い材料を扱うには?(屋根材)

重い材料を扱うには?(壁材)

模型をつくろう(1)

模型をつくろう(2)

模型をつくろう(3)

墨付けの原理

墨付けの道具(1)

墨付けの道具(2)

継ぎ手と仕口

丸ノコの話

基礎工事の材料、価格などについて

木材の手配(材木の価格、柱など)

木材の手配(人工乾燥材について)

木材の手配(集成材について)1

木材の手配(集成材について)2

材木の種類や寸法について

木材の手配(梁や土台について)

アウトレット建材店からの資材購入について

建築資材の手配について

トップライトの話

屋根の勾配のことなど

屋根工事の話

設備との関係

電気配線工事の話(1)

電気配線工事の話(2)

第二種電気工事士の資格を取るには? 筆記試験編

第二種電気工事士の資格を取るには? 技能試験編

自分で電気配線工事をする手順