筋交いの入れ方

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筋交いというと、その配置方法や向き、耐力や壁量計算、金物の選定やN値計算などの設計的要素が重要なんですが、このページはそういうことではなく、
セルフビルドの施工現場で、一人でどのように加工して取り付けるのか、特に筋交い材の端部は斜めに角度がついているので、どうすれば正確にカットできるのか・・・といった、大工作業について書いています。

では、筋交いを入れる手順にそって・・・
まず最初にやることは?

1 柱と横架材を金物で固定する



柱と横架材で囲まれた空間に・・・

※ 横架材(おうかざい)とは、土台や梁・桁などの、横(水平)に使う構造材のこと

そのまま筋交いを突っ込むと・・・

こんな風に突っ張られて、柱から横架材がすっぽ抜けようとする力が働きます。

※ このイラストは少し極端に描いてますよ(^^ゞ
実際には数ミリ浮き上がる程度

筋交いがユルユルならこんなことは起きないですが、ユルユルじゃまずいですよね。

だから先に、柱と横架材を金物で固定しておきます。

これを先にやっておかないと、筋交いを入れたときに柱と横架材の間に数ミリの隙間ができていることに気が付かずに、そのまま金物を打ち付けてしまう恐れがあるのです。

筋交いはキツく入る程度にピッタリに加工し、柱と横架材もピタッ!と密着している ・・・ これを目指しましょう(^^)

2 筋交い材を加工する

(1) 材を用意する

① 反りのないもの よく乾燥しているものを選ぶ

反りがあると地震で水平力がかかったときに座屈しやすいし、間柱との取り合いもうまくいかない。
乾燥していないズブ生の材だと、後で乾燥に伴って縮んでしまい、ユルユルの筋交いになってしまう。 まぁ、木材は軸方向にはそんなに縮まないけど、やっぱり良くない。
実際には昔と違って現在ではズブ生の構造材が出回ることは少ないと思うし、筋交いと指定して注文すれば、材木屋ではそれなりの材を選んでくれるはず。

② 材の長さ

材は、柱間1間(6尺)なら筋交いは3m以上になるので、4m材を注文することになるけど、柱間が4尺5寸や3尺なら、3m材で間に合う計算になる。
  (横架材間の距離を2.7m、柱の太さを4寸(120ミリ)としたとき)

柱間別の、筋交い材必要長さ

筋交いの長さの計算方法

筋交いの長さは、筋交いを入れる空間の対角線の長さとなるため、三平方の定理を使って、計算で求められます。

例えば上記左図の柱芯間6尺の場合

筋交いを入れる空間の水平方向の長さは、柱芯間の距離が 1820 で柱の太さが 120(4寸)なので、1820-120=1700
垂直方向の長さは 2700 (横架材間の距離そのまま)

よって、上記左図の場合、筋交いの長さ=√( 1700の2乗+2700の2乗)=3191 となる。


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(2) 筋交いの作り方

柱間1間の例例えば、柱の間隔が最も一般的な6尺(一間)のところに筋交いを入れる場合を例にします。

さて、筋交い材の端部は現場の角度に合わせて斜めにカットするんですが、そのカットラインをどうやって墨付けするか?

作業者が2人いる場合

横から筋交いを押し当てて墨付けする図 一人が筋交い材をイラストのように横から押し当て、その間にもう一人が矢印の位置を柱や横架材にそってなぞっていけば簡単にできます。

あとは墨線にそってカットするだけ

実際には一度に上下2か所カットすると誤差が大きくなるので、先に上端をカットしてからカットした剣先(筋交いの端部)を現場に押し当て、その状態で下端を墨付けして下部をカットするほうが正確にできる。

問題は、セルフビルドでよくある『一人作業』のときですが・・・

作業者が一人だけの場合

一人の場合、上記のような作業は出来ないので、上端の角度を計算で求めて墨付け、カットしてしまいます。

柱の長さと柱間水平距離の図 柱の太さが4寸(=120ミリ)だとすると、筋交いが入る空間である左図の X は1700ミリになります。

(柱の太さの半分の2倍を差し引くから 1820-60*2=1700 )

柱の有効長さ(図のY)を、仮に2700ミリとした場合の、筋交い端部の加工方法ですが・・・

 さしがねの使い方

さしがねの当て方(1)
まず、筋交い材に墨壺を使って芯墨(中心線)を打ち、さしがねを斜めに当てて墨付けしていきます。

斜めの『角度』をどうやって出すかというと・・・

さしがねの当て方(2)上のイラストから、筋交いの入る空間の寸法は
縦=2700 横=1700 でした。

その比率の長さを取って、さしがねを左図のように筋交い材(の芯墨)に当てます。

まず、材の端部に近いほうを墨付けした後、さしがねを返して、今引いた線と直角に交わる線を引きます。

さしがねの当て方(3)2つの線の交点が、材の芯墨と合うように引けばいいです。

筋交い端部のカット(1)墨線に沿って丸鋸で・・・

筋交い端部のカット(2)2方向からカットすれば、筋交い端部の出来上がり

一人作業のときの筋交い下端の墨付けあとは、今カットした上端を現場に押し当て、その状態で下端を墨付けしてカットする。これなら一人で出来ますね(^^)v

筋交い材を現場に押し当てる際は、芯墨を土台と柱の隅角部に合わせます。

※ 実際には、軸組が正確であれば、現物合わせをしないで筋交い材の長さも計算で求めてカットしても、ピッタリ合います。

芯墨のラインと、さしがねの当て方

右図のパターン2ように、筋交いの端部を横架材側に多く当てたい場合もあるかもしれませんね。
芯墨はあくまでも柱と横架材の隅角部を結ぶラインなので、パターン2の場合は芯墨が材の中心線からズレることになります。
それで全然問題ないんですが、さしがねを当てるときは、必ず芯墨上で寸法を拾って墨付けすることになります。

一方、左図のパターン1のように芯墨と材の中心線が素直に一致しているなら、さしがねは芯墨に当てても良いし、下の図のように材の際に当てても、どちらでもOK
(角度は同じです)

芯墨とさしがねの関係図

じつは筋交いの長さや角度を測るための専用の道具として、筋交い定規というものがあります。
現場に合わせて寸法・角度を写し取り、墨付けするだけの便利グッズ

私がはじめての木造建物として自宅をセルフビルドしたときは、なまじ筋交い定規の存在を知っていたため、筋交い定規を自作して筋交いを作っていました。
その後、このページで紹介した方法を覚えてからは専らこのやり方です。 さしがね1本あれば出来てしまう身軽さがいいですね。


筋交い作りの動画があります。 ⇒ こちら

  ( 60万円の小屋作りDVDの中のワンシーンです )

筋交いをタスキ掛けにする場合

たすき掛けした筋交い右上がりの筋交いと、左上がりの筋交いは、当然同じ長さになるはず。

だから筋交い材を現物合わせで墨付けしてみて、もしも左右長さが違っていれば、柱が垂直に立っていないということですよね (^_^;


左の写真は自宅南側に作った2階テラスの軸組みなんですが、柱や梁はプレカット加工なので、ホゾの位置などは極めて正確

よって、筋交い材は長さ、角度ともに計算で求めて(現物合わせをせずに)はめ込みました。 当然、左右2本の筋交い材の長さは全く同じ。
これでピッタリ合い、同時に柱の垂直も確保されます。
(土台が完全に水平であることが絶対条件なのはモチロン)

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3 筋交いを現場に取り付ける

筋交いの入れ方筋交いの上端を梁に掛け、下端を掛矢などで叩いてはめ込みます。

この際、あらかじめ入り面を玄能で叩いて丸くしておくか、鉋で削って面取りしておくと入りやすいです。

上下とも少し入ったら、上下を何回かずつ交互に掛矢で叩き、完全にはめこめばOK

(コツ1) 上下どちらかだけを叩き続けると、もう一方がはずれることが多い。

(コツ2) 上端を最初から奥まではめ込んでいると、振れ角度が大きすぎて、下端がキツくて入らない。

2倍筋交い金物最後に、所定の金物を上下端に取り付けて完成!


( 画像は『2倍筋交い金物』というもので、柱と横架材と筋交いが一体化して強い。 ボルト類が干渉して使えない場合は、代わりに柱と筋交いだけを固定するものも有り )

筋交いと間柱の取り合い

筋交いを入れる空間には間柱も入るのが普通で、互いに干渉しあうため、下地材である間柱を欠き込み、構造材である筋交いは欠き込みません。

間柱の欠き込んで筋交いを入れる手順については、こちらのページをどうぞ

   ⇒ 間柱・筋交い (物置小屋作り)

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