DIY日曜大工で家をつくる
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屋内配線工事の手順
セルフビルドの自宅建築でどのように進めるのか

屋内配線作業(電線どうしの接続)
最終更新日 2024年1月19日


電気工事士の資格を取ると、自宅の電気配線(屋内配線)を堂々と自分でできるようになるんですが、具体的にはどんな手順で行うのでしょうか?

屋内配線といっても、壁の中や天井裏に電線を通す作業もあれば、壁や天井が出来た後でやるコンセント取付けなどの作業もあり、

配線工事以外の家作り作業の進捗に合わせて行うため、失敗して後戻りすることがないよう、手順良くやりたいものです。

書いた人 ・ 運営者

氏家誠悟(seigo uziie)
2004年からこのサイトを運営している個人です。自分で家2棟、小屋2棟をセルフビルドしました。「自分でわが家を作る本。」の著者です。
元岩手県の技術系職員(森林土木・木材関係)
第二種電気工事士、DIYアドバイザー、林業改良指導員及びバックホー等の重機運転資格が有ります。


屋内配線工事の手順


一般的な木造住宅建築の現場では様々な職人さんが入れ替わり工事をしているので、日程の調整などの段取りが重要なわけです。

特に配管工事とか配線工事は、例えば間柱などが出来ていないとケーブルの固定が出来ないし、逆に大工さんに先に断熱材を入れられてしまうと、電気屋さんが後から壁の中に配線できないですよね。

だから工務店による調整が重要なんですが、セルフビルドの場合は、自分ですべて段取りや日程を自由にできるので、その辺は気楽なもんです。

でも基本的な手順を知っておかないと、やはり苦労することになります。

このページでは、DIYで屋内配線する場合の具体的な作業内容や手順についてご紹介しますが、私のセルフビルドの実例なので、プロの電気屋さんが行う場合とは微妙に違うところがあります。 ・・が、大筋は合っているはずです。

時系列でいってみましょう。


1、照明・スイッチ類・コンセントの位置決め


実際に現地で、「 ここに、この高さで、この照明器具のスイッチをつける。」・・なんていうことを検討し、平面図に位置を記入していきます。

セルフビルドではない一般的な家の建て方ですと、設計段階ですでに詳細な配線計画を作るわけなので「現地に立つ」ことができませんが、セルフビルドだとそんなことが可能なんです。(^^)

屋根・外壁・床下地ができあがり、壁の下地となる間柱などが付いた状態になれば、具体的に現地で決めることができるようになります。 なんならサインペンなどで木に直接書いても良いでしょう。

この工程だけは自分一人だけではやらずに、家族を連れてきてやったほうが良いと思いますよ。

後からブツブツ不満を言われることなく、(^_^; さらに、自分たちで家を作っているんだという参加意識やワクワク感が生まれますからね。(^^)v

2、配線計画を立てる


どのコンセントでどのくらい電力を使うのか想定し、回路を振り分け、配線図を描く作業です。

ちなみに私の場合は、もちろん自分で配線図を描いたのですが、1階平面図と2階平面図にそれぞれ照明の回路、コンセントの回路を分けて描いています

分岐回路は全部で11有るため、照明とコンセントを一緒に描くとごちゃごちゃして見にくくなるからです。 例えば、2階の照明回路の配線図はこれです。↓↓

配線図の例 (照明回路の配線図)

家の分電盤には、安全ブレーカーが少ないところでも3個とか、多ければ15個とか、そんな感じで付いていますが、安全ブレーカーの数が即ち分岐回路の数なわけです。

一般的な家庭用の安全ブレーカーは20アンペアなので、ひとつの回路で20アンペアを超えないように計画して、どの回路にどれとどれのコンセント、あるいは照明を割り振るか決めるわけですね。

分かりやすくするために、コンセントの回路と照明の回路は分けたほうがやりやすいです。( 個人的意見 )

 ⇒ 配線計画の立て方

3、第一次配線工事


さて、いよいよ現場での作業ですが、家作りのどの段階でやるかというと、
  1. 屋根・外壁が完成している
  2. 柱・間柱・梁・桁・2階根太がむき出しの状態である
  3. 断熱材はまだ入っていない
  4. 天井下地の「野縁」もまだ取付けられていない

   ・・・という状態のときにやります。


配線は天井裏や壁の中を通すので、天井が出来てしまえば出来ないし、天井下地である「野縁」が取付けられただけであっても、出来なくはないけど野縁が邪魔でやりにくい。

壁に断熱材が入ってしまえば、壁の中を配線することは出来ないですね。

・・ということなので、この段階でやるのがベスト。

第一次工事の手順は次のとおり

1,コンセント、スイッチの位置に埋込ボックスを取付ける

埋込スイッチボックスを間柱にネジ留めする

スイッチやコンセントはこういう埋込スイッチボックスにネジ留めで固定されるので、あらかじめ決めた位置にボックスを固定しておくわけです。

ネジ留めで固定するので、下地は柱や間柱などの木材になります。

取付ける高さは一般的には、コンセントは床から25~30cm、スイッチは120~130cmとされていますが、目的に合わせて使いやすい位置にすれば良いでしょう。

埋込スイッチボックス

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2,ジョイントボックスを取付け、前記1との間にケーブルを張り巡らす

2階根太に張り巡らしたVVFケーブルと、ジョイントボックス

ひとつの回路の電線は大抵途中で分岐するわけですが、分岐点では電線と電線を接続する必要があり、それは必ずジョイントボックスの中でやらなければならいことになってます。

多くの場合、天井裏の梁や2階根太などに分岐点を設けることになるんですが、適当な位置を決めてジョイントボックスのベースを固定。

埋込スイッチボックスとジョイントボックスの間にVVFケーブルを張り巡らし、ケーブルをステップルなどで固定します。

ジョイントボックス
(VVFケーブル用)

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天井照明の位置にぶら下げたVVFケーブル

天井に照明器具が付く位置にもケーブルを引き、取り敢えずは、このようにぶら下げておきます。

3,ジョイントボックス内で電線を接続する

電線を差込みコネクタで接続

VVFケーブルの外装を剥き、絶縁被覆を、差し込みコネクタによって決まっている所定の長さ剥いて裸電線を出し、差し込みコネクタに差込んで接続します。

接続したら、カバーを被せて1箇所終了!

差込コネクタ

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ジョイントボックスのカバーを被せた

どの線とどの線を繋ぐのかは、電気屋さんなら頭の中で分かっていて作業がスイスイ進むでしょうが、にわか電気工事士のセルフビルダーとしては、ここで間違えると大変なので、あらかじめノートにでも描いておいて確認しながらやるのをお勧めします。(^_^;

ちなみに、私の場合のノートの一例がこちらです。 分岐点ごとにすべて描いていました。↓↓

ジョイント部分の複線図の手書きメモ

4,アース線を引いておき、外にアース棒を埋設する

洗濯機、電子レンジ、ウォッシュレットなどの、感電防止のためアースを取る必要がある家電用のコンセントは、アースターミナル付きにするんですが、そこからアース線 ( 緑色の単線 ) を引いて地中に埋設するアース棒と繋ぎます。

アース線も、内装壁ができてしまうと引けなくなるため、この段階で配線しておきます。

大してお金も手間もかからないので、念のため多くのコンセントをアースターミナル付きにしておくと後々安心ですね。

アース棒もいろいろあるけど、長さの長いものほど土との接触面積が大きいので、電気を逃がす効果が大きくて有利。
アース棒とアース線はリングスリーブなどでしっかり結線しておきます。

アース線1.6mm 5m

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丸形アース棒10×500

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5,電話線やLAN配線、アンテナ線も配線しておく

天井裏や壁の中を通す配線は電力線だけではないので、電話線、LAN配線、アンテナ線も今のうちにやっておきます。

LANにしろテレビアンテナ線にしろ、末端は電力用と同じ埋込スイッチボックスなので、そこまで通しておきましょう。

TLフレキ管を埋込スイッチボックスまで配管した例

電話線のように、家の完成後に引いてもらう ( 工事中には配線できない ) 種類のものは、天井裏や壁の中に、呼び線付きのフレキ管を通しておくと良いです。

TLフレキ管はよく曲がるので配管が楽です。 径に合ったサドルで間柱などに固定します。

中に「呼び線」という針金が入っているので、後日、これに電話線などを引っ掛けて目的の場所まで引っ張ってくる仕組み。

未来工業 TLフレキ 呼び線入

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6,すべての回路のケーブルを分電盤の位置に集める

分電盤の各パーツの名称


分電盤は、すべての回路の屋内におけるスタート地点です。

ひとつの回路はひとつの安全ブレーカー(=分岐ブレーカー)からスタートするので、回路の数だけ安全ブレーカーが必要です。

これまで屋内配線してきたケーブルを、分電盤まで集めるんですが、これ以降は電気屋さんにやってもらうのが無難です。

分電盤の位置の壁(石膏ボード)に大きめ穴をあけ、そこから回路分の本数のケーブルを出した状態で、後日、電気屋さんにお願いすると良いでしょう。

これにて電気配線の作業は一旦中断し、内装工事を進めます。

4、内装の仕上げをする

断熱材の充填

内断熱の家の場合、壁の中にはグラスウールなどの断熱材が入るので、配線済みの壁の中には断熱材を詰め込みます。

埋込スイッチボックスがどうしても邪魔になるので、グラスウールなどを切り欠いてから入れるとうまく納まります。 切り欠きをしないとどうしても隙間ができちゃいます。

埋込スイッチボックスを覆うように施工された充填断熱材

壁の仕上げ、ボード開口

上の状態の後、防湿シートを全面的に貼り、その上から石膏ボードを貼ります。

埋込スイッチボックスに合わせて開口した石膏ボードを貼る

埋込スイッチボックスの箇所は石膏ボードを開口しなくてはなりませんが、適切な位置とサイズにピタッ!と合わせてカットするのが重要。

埋込スイッチボックスには磁石付きがあり、プロの職員さんたちはこれを頼りに、大工さんたちが全面的にボードを貼った後から検知機を使って位置を割り出し、専用工具できちんと開口できるんですが、

そのような工具を持たないセルフビルダーとしては、埋込スイッチボックスの高さ等をきちんと測って、あらかじめボードを切り欠く必要がありますね。

石膏ボードの開口

穴のサイズが小さすぎるとコンセント等からのネジ留めが出来ないし、逆に大きすぎるとコンセント等がうまく壁に密着しないので、失敗となります。 適切なサイズというのがあるんです。

コンセント等のためのボード切り欠きの詳細については、このページをご覧下さい。

 ⇒ 石膏ボード切り欠きの道具やサイズについて


ピタッ!と正確にカットする自信がない場合は、ボックスの中心位置をめがけて小さな穴をあけ、そこから引き回し鋸を入れてHの字型にカットする方法もあります。

引き回し鋸で中心から外側に切っていくと、ボックスの壁に当たって止まるので、適切なサイズにカットできる理屈です。

この動画が参考になりますよ。
(13分23秒)
↓↓↓
   

天井の仕上げ

木造住宅の天井は、一般的に「野縁(のぶち)」という3~4㎝程度の角材を格子状に組んで下地にします。

天井に付く照明器具は、引っ掛けシーリングに固定するものと、電線を直接接続するものとがあるんですが、引っ掛けシーリング自体は野縁に固定することがほとんどなので、野縁を組む際に野縁に穴をけてケーブルを通しておきます。

野縁が組まれたた天井下地 野縁とケーブルの穴と天井材の関係

この辺のことは別のページで詳しく解説していますので、さらに詳しくはこちらをご覧下さい。

 ⇒ 引っ掛けシーリングの取付け方法



電線を直接接続するタイプの照明器具には、例えばダウンライトがありますが、ダウンライトの説明書で指示されている寸法で天井に穴を開けておき、そこからケーブルを出しておきます。

これも本職の方々は、大工さんたちが全面的に天井を貼った後、電気屋さんが設計図をもとに後から天井を開口し、その位置まで延しておいたケーブルを引っ張り出すという手順でやるようですが、セルフビルドの場合は少し違いますね。

ダウンライトの場所に丸穴を開けた天井板を貼る

5、第二次配線工事

内装壁や天井が出来たので、壁にスイッチやコンセント、天井に引っ掛けシーリングを取り付け、事前に配線しておいたケーブルを繋ぎます。

壁にスイッチやコンセント

第二次工事前のコンセント設置箇所
こうなっているので、・・・

防湿シートを取り除く
防湿シートを切り欠き、・・・

中のVVFケーブルを引き出す
ケーブルを引っ張り出します。

ケーブルの被覆を剥く
ケーブルの外装を剥き、さらに絶縁被覆を所定の長さに剥き、・・・

電線をコンセント裏側の穴に差込む
コンセントやスイッチの裏側の穴に挿し込む。

コンセントへの結線完了
しっかり奥まで挿し、裸電線が見えないようにします。

コンセントを埋込スイッチボックスに挿入する
埋込スイッチボックスに挿入し、・・・

コンセントをネジ締めで固定する
コンセントの連用取付け枠の穴から、
埋込スイッチボックスのネジ穴にネジ留め。

コンセントの取付け完了
プレートを被せて完了!


アースターミナル付きコンセントの場合は、事前に配線しておいたアース線を、所定の位置に差込みます。

コンセントの裏側に電線とアース線を繋いだ様子

コンセントはすべて、室内から見たときは左が接地側、右が電圧側です。

ということは、コンセントの裏側に電線を差込むときは裏側から見て右が接地側。

接地側には白線を差込みます。 大抵は接地側に「W」、または「N」の印字がされているので間違えることはないと思いますが・・・


天井に引っ掛けシーリングなど

ケーブルの外装を2cmほど剥き、5mmほど残して電線の被覆を剥きます。

引っ掛けシーリングの側面には、長さを示すゲージがついているので、ゲージの長さに合わせて、露出している部分の電線の長さをカット。

電線の余分な長さをペンチで切断 電線を引っ掛けシーリングに挿し込んだ状態

引っ掛けシーリングの差込み穴に挿し込んで結線完了。

このとき、挿し込みが十分でないと裸電線の部分が見えてしまうので、それはNG
きっちり奥まで挿し込むと写真のような状態になります。裸の部分がありません。

引っ掛けシーリングの場合も、接地側にはマーク(NとかWと表示されている)があるので、必ず白線を挿し込みます。

引っ掛けシーリングを天井にネジ止め

あとはネジ穴から木ネジを打って固定すれば完了

もちろん、ネジは野縁に効かせるようにします。 天井のボードだけでは保持力がありません。

だからネジの長さは天井材の厚さも考慮して最低でも32mm以上は欲しいところ。 私は50mmのスリムねじを打っています。

天井裏から見たダウンライト

ダウンライト(=天井埋込型の照明器具) は引っ掛けシーリングを介さず、電線を直接繋ぐので、天井裏から見るとこういう感じ。(一例)

ちなみに、もし天井裏にグラスウールなどの断熱材を充填するなら、ダウンライトには断熱材を接触しても良いタイプとそれが出来ないタイプがあるので、きちんと選別しましょう。

うちは屋根断熱なので、天井裏に断熱材は入れませんでしたが・・・

6、引き込み工事と、電力会社への申請

ここから先は、いくら第二種電気工事士の免状を持っていてもDIYではできません。
( 分電盤の取付けはできるけど、併せてプロに依頼するほうが無難 )

電気屋さんに依頼して分電盤を取り付けてもらい、電力会社へ電柱からの引込みと電気使用の申請をお願いしましょう。

申請には配線図を添付しなければならないので、配線図だけはしっかりと第三者が見ても通用するように、配線図記号なんかもルールに乗っ取って間違えないように書いておきましょう。

第二種電気工事士の資格を取るときに勉強しているので、大丈夫出来るはず。

申請を受けて、電力会社から検査の日程について連絡があります。

7、受電


電力会社または電力会社から依頼された保安協会などの検査を受け、めでたく合格すれば、その瞬間から電気を使用できるようになります。

そして照明器具を点灯してパッ!と明るくなった瞬間・・・ こんなの普段は当たり前のことなんだけど、このときばかりは感動モンですよ。(^^)v

私の自宅建築のときは、この検査の日は、ここへ引っ越してくる日の前日でした。 めでたく合格して良かったです。(^^ゞ

サイトマスコットのキツネ

以上、自分で電気の屋内配線をする場合の内容・手順をご紹介しました。



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