構造材のプレカット(外注)


今回の家作りでは、構造材の刻み作業を自分でやるのではなく、プレカットに依頼しました。

プレカットとは、柱・梁・桁・土台などの構造材を、現場に搬入する前にあらかじめ専門の工場で「仕口」や「継手」を刻み加工してくれるサービスです。
自分で家を建てる際に、とても利用価値の高いサービスが『プレカット( precut )』だと思います。

納品されたプレカット構造材
プレカットされ、納品された状態の構造材
これを組んで棟上げし、家の骨組みを作ります。

目次

自分で家を作るとなると、なんとなく一番難しそうに見える 『 刻み作業 』・・・丸ノコやノミを駆使して、『平ほぞ』だとか『腰掛け鎌継ぎ』だとか『大入れ蟻掛け』だとかの刻みを自分でやるとなると、初めての人にはハードルが高そうに感じると思いますが、

これをすべて、希望の間取りに合わせて、工場のコンピューター制御のラインで精度良く加工してくれるとしたら、こりゃー有難い!

ログハウスにキットがあるように、プレカットは、いわば在来工法による『オーダーメイドのキット』のようなもの。

現在の住宅建築ではほとんどがプレカット利用であり、大工さんによる手刻みは非常に少なくなっていると聞きます。

では、プレカットのサービスは工務店やハウスメーカーしか利用できないのかというと、全然そんなことありませんよ~ (^o^)┘

セルフビルド(ハーフビルド)しようとする個人でも、プレカット会社に注文して刻み加工してもらうことが出来るし、その際、材料を自分で用意しなくても、材料自体をプレカット会社で手配するので、施主としてはかなり楽ができます(^^)

私の場合は、17.8坪の住宅の構造材のプレカット加工料金が 106,800円+運賃23,600円 計 130,400円でした。
(税抜き。材料代除き、プレカット加工のみの価格。 柱・梁・母屋・桁・土台・束・大引などの構造材そのものの価格としては484,470円かかっています。)

プレカットの価格というのは、坪数に加工単価を掛け、あとは手刻みが必要な特殊な仕口などがあった場合等の加算、それに運賃を加えて出すのですが、この業者の加工料は坪あたり6,000円でした。 以前、相場は7~8千円との話を聞いたこともあるので、これはやや安いほうかも。

価格が高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれですが、私としては、プレカットのメリットを考えれば、そんなに高いものでないという印象です。

機械加工された仕口の例(土台端部)
回転する機械で加工するため、丸みのある仕口となる。

上の画像は、土台のコーナー部分の加工。表面に細かいキズのようなものが並んでいるのは、インサイジング加工といって、防腐薬剤を浸透させるための穴
プレカット材への印字の一例
プレカットされたすべての材には、使う位置を示す「番付」や、材によっては含水率などの情報が印字されてくる

以前、知り合いの大工さんから、一軒の家(2階建て)の構造材すべてを手刻みするのに要する日数は、4人がかりで1週間だと聞いたことがあります。述べ人数にすると28人/日ということになるかと・・・

私は過去に自宅のセルフビルドで、構造材を手刻みしましたが、大体その1.5倍から2倍くらいかかったように記憶しています。作業日誌をつけていなかったのでかなりアバウトですけど。

この刻み作業をプレカットに外注することによる時間の節約は、大きなメリットですよ。

でもプレカットにするメリットはそれだけじゃないです。

まず『端材』が出ないです。プロの工務店ならば端材の処理はシステム化されてるかもしれないけど、個人のセルフビルドだと端材の処分が予想外に大変なんですよ(-_-;)

例えば4mの材木から3m60㎝だけ使用すると約40㎝余るわけで、構造材の端材のように太くて短い材というのは案外使い道がなく、かといって捨てるにも躊躇し、勿体ないからとついつい貯め込み、やがて端材の山がヒジョーに邪魔! と感じることになります。 最後は薪ストーブ行きが関の山(笑)

あとやっぱりプレカットは加工精度が高いので、構造的に安心だというのがあります。

当然ながら、自分で手刻みするより費用がかかる。 あとは、何といっても手刻みのときの達成感が味わえないということ!(笑)

それと、これは杞憂に過ぎないかもしれませんが、プレカットの場合、加工機械に木材を投入する際、材の天地の向きをどうするかといった配慮がほとんどされていないという話を聞くことがあります。 機械に投入する作業員が、木材に精通した職人とは限らないですからね。

集成材を利用するならそのことは関係ないけれど、無垢材(人工乾燥材を含む)の場合、木材というのは経年変化にともなって乾燥収縮し、一定の法則に従って大抵どちらかに反れていくものなのですよ。
そのため、大工さんたちは材木ごとにそれを見極め、使うべき向きを考えて墨付けしていたわけです。

これを間違えると、年月を経ていくうちに梁が垂れ下がってきたり、床鳴りがしたり、引き戸がキツくなったりという不具合が生じるといいます。
ところがプレカットの場合、こういう配慮がされていないとしたら・・・?

まあ、プレカットの場合、きっちり人工乾燥したうえで修正挽きして寸法ピッタリのKD材を使うので、その後の経年変化は昔ほどではないのかもしれませんね。
杞憂かもしれないけど、少し気になるところであります。


プレカット材により、棟上げ作業をしている途中で撮った画像です
プレカット材による棟上げ途中の様子  大入れ蟻掛け・腰掛鎌継ぎ・垂木掘り・ボルトを通す穴への座掘りなども見える

構造材どうしの接合部はもちろんのこと、ボルトを通す穴や、ボルトの頭が材の外側に出ないように(外壁作業に支障にならないよう)、頭を沈めるための『座掘り』なども加工されてきます。  まさに至れり尽くせり


プレカット工場自体は全国に数百あるそうですが、一般人には普段全くといっていいほど馴染みがないので、どこに頼んだらいいか分からないですよね。

幸い私は県内のプレカット工場を数社知っていましたが、今回のハーフビルドでは折角建築士を頼んでいるので、建築士さんに2社紹介していただいて打ち合わせにも同席してもらい、相見積りを取り、比較検討のうえプレカットの業者を選ぶことにしました。

仮に建築士さんを頼んでいなくても、大きな木材店の電話帳広告に「プレカットあります」なんて書いていることもあるし、大工さんや住宅建築業界の人に知り合いがいたら聞いてみるといいですよ。 大抵知っているはずだから。

さて、私の場合、発注の流れとしては・・・ 建築士さんが複数のプレカット業者に連絡をとり、日程調整のうえ、

  1. 施主・建築士・プレカット業者の3者で打ち合わせ
  2. プレカット業者から見積りをいただく
  3. 業者を選定
  4. 細部の打合
  5. プレカット業者が『プレカット図』を作成
  6. プレカット図をもとに再度打ち合わせ、修正箇所指示
  7. 図面の最終確認、納品日程などを決める
  8. プレカット工場で加工
  9. 現場に納品

・・・ということになります。

打ち合わせでどんなことを決めるのか?

プレカットを依頼するときは、加工だけを頼むのではなく、普通は材料の購入もいっしょなので、最初の打ち合わせのときに、部材ごとにどんな樹種のどんなサイズ、あるいはどんなグレードの材にするか相談するわけです。

例えば『土台』に使う材は、一般的に『ベイツガの防腐処理土台』、『ベイヒバ』、『ベイヒ』、『青森ヒバ』または『ヒノキ』などが使われるけど、施主がどんなのを使いたいか指定するわけです。施主に知識がなくてもプレカット業者の人がアドバイスしてくれるし、打ち合わせに建築士さんが同席していればなお心強いです。

サイズは、例えば柱の太さを4寸にするのか3寸5分にするのか、梁の1本1本の寸法をどうするか、大引は土台と同寸なのか3寸でいいのか・・・なんていうことだけど、これは設計段階ですでに決めてあるので、『伏せ図』や『矩計図』を提出すればOKでしょう。

詳しい図面がなくても、平面図さえあれば標準寸法を使って加工してくれるそうですが・・・

つまり、状況に応じてかなりの部分、「おまかせ」が効くようです。

あとは継ぎ手の位置、火打ち梁の位置、金物の種類の確認とかいろいろありますが、この辺はプレカット業者さんは専門家なのでそれほど心配いらないと思います。施主も事前に勉強しておけば楽しい作業になります。

プレカット図の例 (1)  梁・桁の伏図

プレカット図の例 (1)梁・桁の伏図

プレカット図の凡例の一部梁・桁の樹種、断面寸法、継手の位置、柱や束の位置などが一目でわかるようになっています。

この図をもとに打ち合わせをし、例えば私の場合は、火打ち梁(水平方向の歪みを防ぐために斜めに掛ける1mほどの材)の取りつき位置が、プレカット業者側の当初の案では、桁の継手があるスパン内にあったため、反対側に移動したりしました。

また、押入れ開口部の真上にくる梁材は、当初、私が示した案ではスパン1.5間ということで梁せいが180だったのですが、「建具の真上の梁は、梁の垂れ下りによって建具の開閉に少しでも支障が出ないよう、安全をみて、240の断面が良い。」という、プレカット業者のアドバイスを受け、梁せいを変更しました。

そういう打ち合わせをします。

プレカット図の例 (2)  モヤ・タルキ・屋根の伏図

プレカット図の例 (2)モヤ・タルキ・屋根の伏図

プレカット図の例 (3)  土台・1階柱・大引き・根太の伏図

プレカット図の例 (3)土台・1階柱・大引き・根太の伏図

プレカット図の凡例の一部

プレカット工場を運営しているのは、大きな木材店であったり、住宅・建材関連の会社が共同で持っていたりします。

だから『刻み加工』だけするのではなく、加工対象となる構造用木材はもちろん、付属して必要になる金物とか、構造材以外の材料、つまりタルキや根太などの、いわゆる『羽柄材(はがらざい)』も合わせて手配できるので、プレカットの打ち合わせをする際に、そういう材料もあわせて注文しておくといいです。

中には、設備まで含め住宅の資材一式全部取り扱っているような業者さんもいますから、プレカットの打ち合わせといいながらもかなり突っ込んだ資材購入の話に発展するかも・・・

私の場合は、プレカットを依頼した業者さんから構造材、羽柄材、金物一式、サッシを購入しました。セルフの施工に入ってからは気密テープとか透湿防水シートなどの建材をちょこちょこと・・・

構造材については、こちらで示した平面図などをもとにプレカット業者が必要数量を計算するので、施主のほうから何を何本と指示する必要はなく、あらかじめ打ち合わせした日に、加工済みの材をまとめて搬入してくれます。

でも羽柄材やその他の資材については、施主側から、購入する数量やサイズの一覧を示してやります。

羽柄材は一度に全部使うということはないので、セルフビルドの日程を予想して、注文の一覧に「この材とこの材は何月何日頃にヨロシク!」という感じで希望の納品日を指示おけばいいでしょう。

じつはこれも、プレカット業者のほうで数量を拾ってくれます。でも全部の種類ではなく、棟上げまでに必要になるボルト類だけです。羽子板ボルトや六角ボルトなどを、種類別長さ別に計算して、加工済みの構造材といっしょに届けてくれます。

棟上げ後に必要な、V字金物、筋交い金物、タルキ止め金物などは、施主が自分で数量を拾って注文するという具合です。
(でもこの辺のことは、プレカット業者さんや、頼み方によって千差万別だと思います。私のケースではこうでした。)

カネさえ払えばどこまでも・・・(笑)
これについては、こちらのページで・・ 次へ ⇒ 外注による上棟作業

 プレカットの利用方法