DIY日曜大工で家をつくる
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セルフビルドって実際のところどうなの?

よく聞かれる疑問へのQ&A
私が自分で作った自宅です (^^) ↓↓
セルフビルドで建てた自宅の2階デッキ
自宅や工房など、木造建物4棟をセルフビルドをしてきた私が、実際の経験をもとに、これからセルフビルドを検討している方に、良いことも悪いことも、包み隠さずお話ししちゃいます。

本当に安くなるの? どのくらいの期間がかかるの? 大工仕事なんて全く経験ないのに出来るわけないじゃん! 

・・・等々、よく人に聞かれる疑問点についても、出来るだけまとめてみました。

本当に安く家を建てられるのか?

建材店に並ぶフローリング

自分で作るんだから人件費がかからず安くなるだろう・・と普通は思いがちだけど、一方でこんな意見をいう方もいらっしゃいますね。

1、工務店は『業者価格』で材料を仕入れている。だから安く買える。素人の個人が建築材料を入手しようとすると、かえって高くつく。

2、工具代がバカにならず、思いのほか出費がかさむ。


さて、1の「個人が建築材料を入手しようとすると、かえって高くつく。」という話は、一言ででいうと、

 そういうのは昔の話でしょ!

・・・という印象ですね。


材料の入手先は、

 ① 建材店、材木店
 ② ホームセンター
 ③ インターネット

に分けられるけど、20年前に比べると今やホームセンターと、特にインターネットがすごく充実していて、建築材料といえど大概のものは買えるようになっています。当然、ここでは業者だろうが個人だろうが価格差なし。

建材店や材木店からは私もいろいろ購入しましたが、サッシなんかも定価の29%で入手したこともあるし、特に個人だからといって割高になるという感じはしなかったです。

仮に業者との差があったにせよ、家全体の建築資材費用全体からみれば微々たるものでしょう。
それよりも、やはり自分で作ることによる人件費の節約メリットはでかいです。


工具については、欲しい工具をすべて揃えていったらキリがありません。工具マニアみたいになってしまうと、確かにバカにならない出費になるでしょう。

でも必要最小限の工具だけ購入して、高いものや滅多に使わないものはレンタルを活用すれば、今現在何も工具を持っていなくとも、15~20万円くらいで済んじゃいます。

もともとDIY好きで、インパクトドライバーとか丸鋸など基本的な工具は持っている状態なら、さらに出費は少なくなるでしょう。


それに、家を建てた後でも外構工事や家具作りなど、何かと工具は使うし、工具は財産ですよね。

必要なくなったらヤフオクやメルカリで売りさばけばいいのだし、工具代を気に病む必要はないように思います。


実際、セルフビルドだとどのくらい安く建てられるのかというと、統計データもないのであくまで感覚的な話でしかありませんが、私の自宅は42坪で860万円で建てたので(坪単価20万円)、普通にハウスメーカーや工務店に建ててもらうより約半額かそれ以下になってるんじゃないでしょうか。

設備の少ない「小屋」を建てるなら、もっとずっと安く作ることができますよ。うちの工房は10坪で60万円でした。(坪単価6万円)


セルフビルドの費用のことについては別のページで詳しく解説していますので、ご参考にどうぞ

セルフビルドの費用について

材木店から木材を買う場合の注意点などについては、こちらをご参考にどうぞ
材木店から木材を買うには 材木の種類や寸法
  

素人って技術は無いじゃん! 本当に家なんて作れるのか?

丸鋸で木材をカットし、構造材を組み立てる

結論から言えば、普通に健康で普通に器用な人ならば、問題なく作れます。

よく誤解されがちなのが、家を建てる作業というと熟練の職人さんたちが鉋をかけて「シャーッ!」と気持ちよい鉋屑を出す場面なんかを思い浮かべますよね。テレビの影響もあるけど。

だから木造建築というと職人の世界、それも相当熟練しなければ無理!というイメージがありますが、実際には鉋をかける場面なんかほとんどありません。

セルフビルドで家を作る作業というのは、丸鋸で木材を切ったり、インパクトドライバーでビスを打ったりする作業がメインなので、そういうのはちょっと慣れれば誰でもできるし、全体の作業の中で熟練の技能を要するようなものはほとんどないと言っていいです。


ただし誤解されたくないのは、これはセルフビルド、つまり自分の家を自分で作る場合のことですよ。お金をいただいてお客様の家を作るプロの仕事とは全く次元が違います。

仕上げの完成度を高めるには相当の技術が必要だし、お客様の家を作る職人さんたちはそのレベルに達しているからこそプロの仕事ができるわけです。

しかしセルフビルドは素人がやることなので、完成度は落ちます。当たり前だけど、プロのようにはいきません。
作業スピードも遅いし、段取りも悪いです、遠回りなことが多いし、当然、時間もかかります。


でも時間がかかろうが遠回りだろうが、それでも家はできるんです。

今は木造建築に関する基準も細かくできているし、金物や専用の釘なども指定されていて、構造については法令・基準をきちんと守って作れば、素人でも地震や台風で壊れないしっかりした家ができますよ。

そのためには、事前に木造住宅工事仕様書などに目を通しておくといいです。一般に公開されていて誰でも知ることができます。特別難しいものでもありません。

素人がプロに敵わないのは仕上げの部分

プロは完成度が高くて細かいところまできっちり仕上げることができるけど、素人は技術が未熟だから仕上げの完成度は どうしても見劣りしがち。

その場合、もしこれがローンを組んでプロに建ててもらった家なら、小さなことでもいちいち気になり、そのたびに工事をした工務店に言って直させるか、工務店側の出方 によっては険悪な状態になるとか、とにかく心穏やかではいられないんじゃないでしょうか。


でも 自分で作った場合の状況は全く違い、多少の不細工さは愛嬌の世界に映ります。

実用上困らないのであれば、仕上げの見栄えが多少悪かったり、普通の家では見かけないような作りになっていても、それはむしろ自分の技量や感性のプロフィールであって欠陥には見えないでしょう。

他人に何と言われようが自分の手がけた作品ですからね。 むしろ手作りの温かみとさえ感じるかも(^_^;


「プロがお金をもらって他人のために建てる家」と「素人が自分のために建てる家」ではもともと性質が違うから心穏やかでいられるんです。

つまり技術が下手で も自分の住処なら作れるということです。


「家」は日曜大工の対象として見ればものすごく巨大だし、建てるための工程も非常に多いので、自分で建てるなんて最初からあきらめムードになってしまいそう です。

・・が、ひとつひとつの工程を分解してみれば、それぞれは別段難しいものではなく、ちょっと器用な人なら十分に可能なのです。

施工方法や手順は、普通の人にはわからないじゃん!
どうやってそれを知るの?

家作りの材料であるサッシや断熱材

家作りの部材の大半は工業製品です。

屋根、外壁、窓、断熱材、建具、床束などは、よほど特殊な家(例えばかやぶき屋根など)でない限り工業製品の建材を使用することになります。

こういうものには メーカーが作成する施工説明書が付いてくるか、またはメーカーのwebサイトに施工資料が載っていたりします。

これらは熟練した技がなければ施工できないようにはなっていないし、施工説明書には念入りな手順が図解入りで詳細に書かれているから、私の経験では、あまり悩むことはなかったです。


例えばサッシについては、窓まわりから雨水の浸入を完全に防ぐためにサッシと透湿防水シートをテープで完全に密着させた上で、外壁材とサッシとの間に10ミリ 前後の隙間をあけて隙間にバックアップ材を挿入してからコーキングすること……などが図解入りで明記されていました。

素人にはどれも全くはじめての経験になるわけだけど、材料が届いたらいきなり本番の施工をするのではなく、端材を使ってちょっと練習してみれば、すぐにコツがつかめると思います。


それに、昔は建築材料のことは業界の人しかわからなかったけど、今はネットで検索すればほぼ何でも調べられる時代
セルフビルドにとってはとても便利な時代になりました。

いちいちネットで調べるのが面倒でも、施工手順やポイントなどをまとめた書籍もあるので、手っ取り早く理解できるようになります。

技術や知識はどうやって身に着けるのか?

軸組み工法で建築中の現場
えーっとですね、ワタクシのお勧めの方法は・・・・

まずはこのサイト内の各ページをよく読んでいただいて (^^ゞ

次にこのサイトで紹介している参考書を数冊読んでいただき (^^ゞ
関連ページ
セルフビルドの参考書を紹介します
もうこれだけで予備知識としてはだいぶ身に付くはずです。
※ 前述の『木造住宅工事仕様書』や、『施工手順やポイントなどをまとめた書籍』など多数紹介しています。 


さらには、木造建物を作る具体的な方法・ノウハウについては、実際の施工を動画で解説したDVDもあるので是非ご覧ください(^^ゞ
これを見れば、小さな家くらいの規模の小屋なら誰でも作れますよ。
↓↓↓


あとは、なんといっても現場の職人さんたちが一番の先生なので、お知り合いに大工さんや建設業の方がいたら積極的にいろいろ聞いてみることをお勧めします。

私の場合は、幸いにも土木業界に友人がいて彼には本当にお世話になりました。さらに彼の友人が大工さんで、貴重なアドバイスをもらったりしたものです。

全部自分でやるのと、難しいところはプロに頼むのと、どっちがいい?

木をふんだんに使った内装も自由に作れる

一口にセルフビルドといっても、何から何まで自分でやるのではなく、部分的にプロにまかせることだっておおいに有りなわけです。

人それぞれ、時間的、体力的、資金的条件も違うし、家作りに対する夢とロマンの感じ方も様々だから、なおさらですね。

休日しか作業できないサラリーマンにとっては、部分的に外注するやり方が現実的でメリットが多いと思います。


私の場合は、やはりサラリーマンだったにもかかわらず、あんまり深く考えないで「全部自分でやっちゃえ!」という勢いだけで突っ走ったため、実際には時間ばかりかかったり、しんどかったり、自分でやる旨みが少ない工程もあったのが本当のところなんです。


家作りの前半は、基礎工事・木材刻み・棟上げなどでどうしても大工事になるし体力を使うことが多いです。しかも構造部分なので失敗はできません。

でもそれだけに、やり終えたときの充実感というか、達成感は大きなものがありますね。セルフビルドの醍醐味を十分味わうことができるし、ここを自分でやり遂げると、すごく自信がつきます。


その点、後半の内装あたりになると、扱う材料も軽いものが多くて楽だし、構造部分でないから気楽。
仕上げの部分なので派手でやりがいがあるし、自分なりの個性を発揮できるのもこの部分。

キツくて辛くて面白味の少ない工事は避け、美味しいトコだけ自分でやりたいと考える人も多いのではないでしょうか。人間ですものね。

ただし当然のことながら、プロに任せる比率が多くなればなるほど、建築費用は高くなっていくので、「安く作る」メリットは失われていくわけですけどね。


すべて自分でやる『フルセルフビルド』にするか、一部をプロに任せる『ハーフセルフビルド』にするかを考えるとき、『作ろうとする建物の規模』がすごく大きな要素で、自分の経験からいうと、正直なところ、『家』を作るならハーフセルフビルドが現実的だと思います。

フルセルフで家を作った自分でいうのも変だけど、家という巨大なものを一から十まで自分で作るというのは、いろんな意味で負担が大きすぎるのです。


いや、いいんですよ、例えば時間がたっぷりとれる環境にあって体力的にも自信のある方であれば、家をフルセルフビルドするのはものすごく達成感がありますから、素晴らしいイベントになることでしょう。

でも普段は本業のある普通のサラリーマンの方には、かなり負担が重いということです。


これが『家』でなく『小屋』だったら、規模的もせいぜい15坪くらいまででしたら、基礎工事からすべて自分で作るのは現実的もそんなに無理はないですし、すごく楽しくて充実感があって、楽しいですよ~♪

どのくらいの時間がかかるものなの?

建物の規模と、どこまで自分でやるのかによって全然違ってくるけど、一例として私の自宅のときは、42坪の家をほとんどセルフビルドして述べ500日くらいかかっています。

基本的に休日利用だけど、これだと 毎日やっていたとしても1年たっても終わらない計算ですよね。

私の場合は、建築現場が住所地から遠いことに加え、現場が山の中で冬は除雪されないため近づけないことと、一時期は本業多忙で全く工事できない数年間があったりして、やっと引っ越しできたのは着工から9年もたってからでした。

あまり参考にはならないかもしれませんが、これではデメリットが多すぎますね。
もっと上手にやる方法はなかったのか・・・ 反面教師だと自分でも思います。


そういうことからも、『小屋』ではなく『家』、しかも平屋ではなく2階建ての30坪を超えるような規模の住宅をすべて自分で作るというのは、自分でいうのも変だけど、あまり賛成できないのです。

やるのは全く自由だし応援したい気持ちなんだけど、これだけの膨大な時間を費やすことになるということを、計算に入れていただきたいのです。
せっかく楽しいセルフビルドを始めても、「こんなはずでは・・」と後悔しないように・・・


けれども、もし建てる場所が普段住んでいる住所の近くで、休日も豊富にあり、基礎工事・屋根・電気配線を外注し、木材刻みをプレカットにすれば、工事期間は大幅に短縮されるはず。

2階建てじゃなく平屋にすれば、上下移動が少なくなるし材料の上げ下げも減るから、さらに工期は短縮されることになります。
これなら十分に現実的で、楽しいのではないでしょうか。


家ではなく小屋を作るというなら、基礎工事から全部自分でやることは十分現実的に可能だし、達成感・充実感も素晴らしいですよ。
すべては、作るものの規模とやり方次第。

書籍紹介 : 小屋大全

たった一人だけで本当にできるの?


家作りの工程の中には、どうしても一人だけではできない作業があります。それは基礎に生コンを打設することと、在来工法であれば棟上げのときです。

しかしこれも規模によりけりで、平屋の小さな小屋ならこれらも一人でやってやれないことはないし、規模が大きければその部分だけプロに外注すればいいです。

その他のほとんどの作業は基本的に一人でできますよ。工夫次第です。

この辺のことは別のページにまとめていますので、よかったらご覧ください。  

セルフビルドを一人でやるための工夫

何か資格は必要ないの?


家を建てること自体には資格は必要ないです。誰でもOK

・・・が、作業内容によっては資格が必要なものがあります。設計にも規模の制限があります。

これも別ページにまとめてありますので、よかったらご覧ください。

セルフビルドに資格は必要か

結局のところ、セルフビルドは損か得か?


セルフビルドって、たしかに夢があり、素晴らしいイベントです。自分で額に汗して自らの家族の家を作り上げるなんて、そうそう出来る経験ではないですし、充実感・達成感はハンパないです。家族や周囲の人からの尊敬を集められる可能性も高いです。

でも、人それぞれ、家作りや小屋作りに対する思いは様々です。価値観も違います。目的や条件も、皆違います。だから損得にについては、人それぞれで感じ方が皆違うとしか言えません。

しかも家作りは「人生最大」とは言わないけど、一個人、一家族にとってはかなりのビックイベント。失敗したり後悔したくはないですよね。


だからこそ、自分にはとても無理!と簡単にあきらめるのではなく、逆に、よく調べもせずに、自分には合わないものなのに無謀に始めてしまって後悔することのないように、事前に関連書籍をよく読んだり、先人たちのサイトやブログなどを読んで、メリット・デメリットやご自身の条件に合うかどうかなど、慎重にご検討いただきたいと思います。

そのためのほんの一部ですが、このサイトがお役にたてれば嬉しいです。


私の著作物です (本とDVD)


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