アスファルトシングルで屋根を葺く
小屋の屋根はアスファルトシングルを貼りました。
アスファルトシングルは軽いし、カッターナイフで簡単に切ることができるし、貼り方は釘と接着剤だけを使った方法なので簡単。 特殊な機械や技能は要りませんしDIY向きです。
さらに、年数を経過して劣化してきた場合は、その上にまたアスファルトシングルを葺き重ねることができるそうです。
今回は日新工業株式会社のマルエスシングルという製品を使いましたが、アスファルトシングルは、ほかにも田島ルーフィング株式会社の三星シングルというのもあります。
建材店から見積もりをとったところ、マルエスシングルのほうが安かったので、(←ただそれだけの理由) マルエスのほうにしました。
メーカーから施行要領書を取り寄せ、それに従って施行しましたので、その方法を紹介します。
(ただし、経費節約のため水切りだけは自作したので、この部分はオリジナルです。)
施工の流れは以下のとおり
- 下葺き材(アスファルトルーフィング)を貼る。
- 必要なら、破風・鼻隠しを取り付ける。
- ルーフィングの上に、シングルを貼る目安のラインを、チョークラインで墨打ちする。(縦・横とも)
- 水切りを取り付ける。
- アスファルトシングルを必要な枚数、カットする。
- アスファルトシングルの裏面に接着剤(シングルセメント)を塗る。
- 軒先にスターターを貼る。その上に重ねて1段目のアスファルトシングルを貼る。
- 以下、2段目、3段目と貼り進める。
- 棟部分を貼りおさめる。
使用した材料
日新工業製のアスファルトシングルです。 商品名はマルエスシングル
サイズは915×305 mm
1梱包に20枚入っています。これで約2.2㎡分施行できます。
柔らかいのでよく曲がりますが、あまり急角度で曲げると折れてしまいます。
表面に鉱物粒をまぶしてあるので、屋根の上を歩いても滑りにくいのです。 その点は金属屋根と違って作業安全性はいいかな・・・
素人のDIYには向いていると思います。
屋根葺き材本体の固定に必要な付属品。
左がシングルセメントというアスファルトシングル専用の接着剤。
18kg入り、9kg入り、3kg入り、330ml入りなどの種類があるそうですが、これは9kg入りの缶です。
右はシングルを固定するための専用釘です。4kgの箱で、約2200本入っています。
これがアスファルトシングル専用の釘「シングル釘」
長さは 25、30、40、50ミリの種類がありますが、今回は一番短い25ミリのを使いました。
シングル1枚につき釘4本が必要になります。
各材料の単価など
施工は平成17年(2005年)でしたので、以下の記載はその当時の購入単価です。 現在は物価上昇分を見込む必要があります。
アスファルトシングル
日新工業製のマルエスシングル 20枚入り1梱包が 4200円
(20枚で約2.2㎡施行可能)
シングルセメント(接着剤)
9kg入り缶 1缶4200円 (今回の小屋は1缶で間に合いました。)
シングル釘
25ミリ長さ 4kg入り1箱 2900円 (4kgでは余ってしまいました。)
アスファルトルーフィング
下葺き材 1m×21m巻き1本が 2100円
下葺き材(ルーフィング)貼り
施行開始
まず下葺き材のアスファルトルーフィングを貼っているところです。(これは棟上げの日にやっちゃいました。)
軒先側から順に貼っていって、上下のルーフィングは10cmほど重ねます。固定はタッカーです。
棟部分はお互いのルーフィングを多めに重ねます。
破風板と鼻隠し板を取り付けておきます。
(見栄えを気にしなければ無くてもいいでしょうけど・・)
屋根仕上げ材(アスファルトシングル)を、ただテキトーに貼ってしまうと、ラインが乱れてカッコワルイ仕上がりになる可能性大なので、あらかじめルーフィングの上に目安となるラインを墨出ししておいたほうがいいです。
チョークラインを使うと便利。 線は縦・横ともに出しておきます。
シングルのサイズと、墨出しの関係
日新工業のアスファルトシングルはこういうサイズをしています。
下の方の127ミリ部分だけが表面に現れて、残りは上から重ねられたシングルに隠れてしまうというわけです。
だから1段の有効巾は127ミリということになります。 チョークラインで目印のラインを墨出しするときは、127ミリおきに打っていくわけです。
また、横方向は915ミリがそのまま有効巾になります。
半切のシングルが交互にでてくるので、墨出しは、915ミリおきに打ったほかに、その中間の457ミリのところにも打っておきます。
さて、軒先部分だけは墨出しの寸法が少し違います・・・・
雨水が上から下へ流れることを思えば、屋根葺き材は当然、下から順に貼っていくということなんですが、
- まず、スターターを軒先に合わせて貼る。(スターターはシングルを半分に切るか、若しくはシングルを上下逆にして貼っても良い。)
- 1段目のシングルを貼る。
下端しをスターターの下端またはそれより5ミリほど出して貼る。 だからチョークラインの墨出しは不要。
- 2段目のシングルを貼る。
このとき、シングルの上端をチョークラインの墨出し線に合わせる。 線は軒先から 420ミリの位置に打っておく。
- 3段目以降は、シングルの上端を墨出し線に合わせて貼っていく。 墨出しは、127ミリおきにひたすら打っておけば良い。
だって、シングル1枚の巾は 315ミリなので、315+127=442 じゃん!
442ー420=22ミリ短い勘定になるけど・・・・??
これには深~いワケが・・・(笑)
軒先のラインが1ミリの狂いも無く直線で、両側のケラバの長さも1ミリの狂いもなく出来上がっていれば問題ないでしょうが・・・そんなのムリか
万一、下地に数ミリの施行誤差があっても、誤差を吸収して、2段目シングルの上端ラインで一旦揃えてしまうということです。
間隔が短いということは、それだけ余分に重なるということなので、雨漏りに対しては安全ですからね。
あと、葺き上がりを美しくする効果もあるそうです。
水切りなど(端部の処理)
軒先とケラバに水切りを取り付けます。
簡易な小屋で、暴風もない地域ならば必要ないかもしれませんが、一般的にはつけたほうがいいようです。
軒先水切りはルーフィングの下に来るので、ルーフィングを捲り上げて差し込むか、またはルーフィングを貼る前に施行してしまいます。
マルエスシングル専用の水切りもメーカー製のものがありますが、値段が高いので、トタン板を使って自作しました。
1本百円程度で作れます。
自作水切りの作り方についてはこちらを参照してください。↓↓
ケラバには、ルーフィングを貼った上から水切りをつけました。
本来はケラバ専用の形をした水切りがあるのですが、強風地域でなければ軒先水切りを同じ形のものでも十分役目を果たすだろうと考え、同じ形状のものを取り付けました。
水切りの下に水が入り込まないように、水切りとルーフィングの間にコーキング剤を詰めます。
ケラバ水切りの下端を加工して軒先水切りに差込み、こんな感じでおさめました。
シングルの貼りつけ
アスファルトシングルはカッターナイフで簡単に切ることができます。
コンパネなどを下に敷いて、木材の切れ端を定規にして真っ直ぐに切るといいです。
奇数段目(または偶数段目)の両端には半切のものが必要になるし、棟を納めるために、1枚のシングルを左図のようにカットしたものを用意します。
シングルを貼りはじめる30分以上前から、接着剤のシングルセメントを塗っておきます。 水飴のようにネットリとした接着剤です。
巾4センチ程度の板切れを使うといいでしょう。
塗る場所はタブ部の下側。 巾4センチ程度が標準だそうです。左写真のは少し多すぎ・・
接着剤を塗ったシングルは、塗布面どおしを重ね合わせてしばらくおきます。
この状態(2枚一組)で屋根の上に運び上げるとベタつく接着剤が服につくこともなく、作業しやすいです。
30分以上してからはがして、屋根に貼り付けます。
冬場で寒かったせいか、けっこう時間をおいても、くっつてしまうことはありませんでした。
下のシングルと上のシングルは、長手方向で半分ずつズラして貼り付けます。
小屋の屋根は、野地板として構造用合板をノーカットで使用するため 3640ミリです。
ということは、両側にシングルが1センチずつ出た状態で仕上がることになり丁度いいかと・・・
余分なカットをしなくて済み、合理的です。
固定はシングル釘を使います。 スリットの少し上部に打ち止めます。
釘打ち箇所は隠れてしまう部分なので、全部貼った後に釘頭が見えていれば異常だということです。
棟部分まで到達したら、両方からシングルを葺きあげて、お互いが重なるようにします。
写真は片方を張った状態です。
棟部分の仕上げに使うシングルはこのようにカット。 1枚のシングルから3枚取れます。
接着剤は3方向に多めにつけておきます。 左写真は接着剤の量が少なめ。
この日は接着剤が残り少なくなって、節約していました。(^_^;
棟の両側からこのように貼っていって、隠れてしまう部分に釘打ちして固定します。
最後は中央が残りますから、最後の一枚だけは釘打ちできないので、接着剤を全面にタップリと塗り、何か重い物を乗せて圧着してやります。
材木を重しにして数日間放置しました。
これでアスファルトシングルの屋根が出来上がりました。 なかなかキレイでしょ・・
※ マルエスシングルには、SN-20 とか SN-30 とかの品番がありますが、これはカラーの違いになります。
グリーンをはじめ、ブラウン、グレー、ブラックなどかなり種類があるので、メーカー(日新工業)のサイトでご確認されると良いと思います。 ( Amazonでは品番が違っても写真の色がすべて同じになっているので注意!)
⇒ 日新工業 マルエスシングルの説明ページ(pdf)
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氏家誠悟(seigo uziie)
2004年からこのサイトを運営している個人です。自分で家2棟、小屋2棟をセルフビルドしました。「自分でわが家を作る本。」の著者です。