さしがねの使い方

【 目 次 】



呼び方や書き方も、何種類かありますね (^_^;
呼び方 書き方(漢字)
さしがね 指矩、 差し金、 指金
かねじゃく 曲尺
まがりがね 曲り金、 曲り尺

尺目盛とミリ目盛

目盛が尺・寸単位になっているものと、センチ・ミリ単位のものがあります。 伝統的な木造建築を手掛けるプロの大工さん・宮大工さんたちは尺・寸目盛のさしがねを愛用されていると思いますが、われわれのようなDIY日曜大工愛好家はセンチ・ミリ目盛のさしがねで十分だし、そのほうが断然使い勝手がいいです。
現在、普通に入手できる木材はほとんどがミリ表記されているし、工業製品であるサッシや屋根材、フローリング材、外壁材などすべての建材はみなミリ表記
付属の設計図も全部ミリで表記されているので、尺や寸で考えることはほとんど無いです。

但し、木造建物のモジュールは今でも尺を基準にしていることが多いので、代表的な寸法をミリ換算した数値を暗記しておくと便利ですよ。
例えば4寸角の柱といえば120ミリ角。 2寸5分は75ミリ。 6尺は=1間で、ミリだと約1818ミリ、だけど実際は合板などはその近似値で1820ミリが多く流通しているなど・・・

さしがねのサイズ

L字型になったさしがねの、長いほうを『長手』、短いほうを『妻手』といいますが、長手が50㎝まで刻まれているのが一般的
これだと家具から建物まで、広い用途で活躍できます。

長手が30㎝までのさしがねもありますが、主に小物作品を作るのならコンパクトで使いやすいと思います。 でも作るものが多種多様で、どれか1本買うとしたら、50㎝までのタイプをお勧めします。

さらに小さな、写真のような15㎝までのものもありますが、これは最早さしがねとは言わず、『スコヤ』または直角定規といいます。
スコヤは曲がりの部分が頑丈に出来ていて、直角精度が高く狂いもほとんどないので、むしろ直角を測ったり確認する用途なら、さしがねよりスコヤを使うほうがいいです。(大きな材料を除いて)

さしがねとスコヤ
スコヤによる直角確認方法
スコヤで直角の確認

裏目盛をどうするか

さしがねには表にも裏にも目盛が刻まれているわけだけど、① 表も裏もミリ単位のもの と、② 表はミり単位だけど、長手の裏には何やら普通のミリ単位ではない√2倍とか3.14倍の目盛が刻まれているもの があります。

②タイプの裏目盛は角目や丸目というもので、建物を作るなら角目・丸目がついているタイプが重宝しますが、主に家具類だけ作るなら、表裏ともミリ目盛のタイプのほうが便利ですね。

さしがねは1本2000円前後で買えるので、理想を言えば上記2タイプとも揃え、さらにスコヤを持っておくのが良いと思います。

さしがねの表目盛と裏目盛

直角線の墨付け さしがねは、長手を材料に引っ掛けて使います。

直角線を引く際、基本は左手でさしがねの『長手』を持ち、右手で『妻手』側で線を引きます。

このとき、左手は『長手』の中央付近を持つと安定しますよ。

悪い使い方例 左の写真のように、さしがねの端っこを押えるようなやり方だと、長手がうまく材料に密着しにくく、失敗する。
(=つまり直角な線が引けない)原因になるのです。

薄ベニヤへのさしがねの当て方 悪い例 ペラペラのベニヤ板など、材料が薄いときは、
左の写真のようにさしがねをうまく材料に引っ掛けることができず、直角が狂いやすいのですが・・・

薄ベニヤへのさしがねの当て方 良い例 こんな具合に、長手を撓ませて、薄ベニヤ板の2点に引っ掛かるようにすれば、正確に墨付けできますよ(^^)v

長手を持ち、妻手で墨付け 斜めの線を引くなどで、長手を材料に引っ掛けないで使う場合、

左の写真にように長手を撓ませ、親指でグッと押さえつけると、さしがねが安定し、妻手側で線を引くことが楽にできます。


まあ鉛筆やボールペンで墨付けするなら必ずしもこんなやり方じゃなく、さしがねを材料の上にベタッと乗せて、長手側で線を引いても全然問題ないんですが、

木造建築用の構造材を墨付けするときは墨差しを使うので、線は常に妻手側で統一しないと、左手が墨で真っ黒になっちゃうんです(^_^;

ちなみに・・・

さしがねへのペンの当て方さしがねに墨差し、または鉛筆やボールペンを当てるときは、イラスト左図のように少し傾け、先端がさしがねにピタッと当たるように意識したほうがいいですヨ

鉛筆などは、垂直に立てると、先端部がどうしても、さしがねと少し隙間が空いてしまうことが多いのです。

よくある失敗例

板の左右に直角線を引く

材料が完全に平行・・つまり右端と左端の巾が完全に同じであることが確認されていれば問題ないですが、そうではない場合・・・

まずのようにさしがねを当て、基準線に直角な線を引いたとします。
次に、予定の寸法を取り、材料の左端に近い位置に線を引く際、やりやすいからといってのようにしてしまうと、で引いた線は基準線に対して直角が出ていない可能性がありますよね。
この線のとおりに板をカットして家具などを作ろうとしても、当然ながらうまく出来ないです。

さしがねは、あくまでも基準線に長手を引っ掛けるクセをつけ、材料の左側に直角線を引くときは、さしがねを裏返して、のようにするといいです。
  ( 当然、基準線は完全に真っ直ぐであることが前提 )

板の右側から寸法を取る 例えば材料の右端から 150mmの寸法を取る場合、
さしがねの端部を材料の端部に合わせてから、左の写真のように 150mmの位置で印をつけ・・・

直角線を引くさしがねを移動させ、長手を材料に引っ掛けて、今つけた印を通る線を引く・・・というのが一般的なんですが・・・

正確な寸法取りのために、板の端に鉛筆を立て、さしがねを当てる 最初に印をつける際、材料の端部に鉛筆などを立て、さしがねを押し当てるようにすると、材料端部とさしがねの端部が正確に一致します。

これをしないで、単に目で見て合わせようとしても、意外に不正確なことが多いんですよ。

板の左側から寸法を取る 材料の左側から寸法を取る場合、簡単なのは、さしがねの、寸法を取りたい目盛を材料端部に合わせ、妻手側で印をつけるやり方


曲線を引く

曲線を使った木工作品例 これは姪に作ってあげたおもちゃ箱なんですが、

こういう曲線を墨付けする際にも、さしがねは便利に使えますよ (^^)v

3点を通るようにさしがねを曲げる さしがねは、かなり軟らかく出来ているので、結構曲がります。

3点の位置が決まれば曲線が決まるので、3つの点を通るようにさしがねを湾曲させ、この状態で、誰かにさしがねに沿って鉛筆でなぞってもらえばOK

ただし、この方法だと二人必要なので、一人でやる場合は・・・

さしがねで曲線の墨付け 一方の端をクランプで固定すれば右手が空くので、一人で墨付けできます。


クランプで固定する際、写真にような簡単な治具を用意するといいです。

木片に鋸で、やや深めの切り目をいれただけの治具ですが、切り目にさしがねを挿し込みます。

角度のついた線を引く

① 正確な勾配を引く

家や家具を作る際、角度については、分度器で測るような何度何分・・・というような単位を使うことは稀であって、実際に多く使われているのは『勾配』なわけです。

勾配とは、傾きの程度を『水平距離と垂直距離の比』であらわしたもので、三角関数でいうところの tan(タンジェント)に相当します。

4寸勾配屋根の垂木 例えば左の写真は屋根を作っているところなんですが、斜めにかけてある角材は垂木(タルキ)です。

この屋根の傾斜は、いわゆる『4寸勾配』
つまり水平距離10に対して垂直距離4上がる勾配ということです。

今は向かって右側の垂木を取り付けていますが、この後、左側の垂木も取り付け、棟木の上で垂木の先端どおしを突き付けます。

垂木の先端形状 そのため、垂木の先端はイラストのように斜めにカットしなければならず、その際の斜めの角度は、屋根勾配と同じにすればOK

つまり 10:4 の勾配でカットします。

勾配線を引くときの、さしがねの当て方10:4 の勾配線をさしがねで引くには、イラストのAの目盛とBの目盛の比率を 10:4 にし、妻手側で墨付けすればいいです。

4寸の返し勾配を引くときの、さしがねの当て方例えばAが300なら、Bが120 という具合ですね。

② 筋交いの端部のカット線を、正確に墨付けする

筋交い端部の形状 筋交い端部は斜めにカットして取り付けますが、この角度を正確に墨付けするには、現物合わせする以外にも、計算で求められます。

そして、上記の方法で材料にさしがねを当て、カット線を引けば良いわけです。

※ 筋交いの墨付けについては別途詳しくページを書いてますので、こちらを参照してください。
⇒ 筋交いの入れ方

45度を引くときの、さしがねの当て方 左写真のように、A点とB点の目盛が同じになるようにすれば 45度

・・簡単ですね (^^)

sin30度=1/2 または cos60度=1/2 を利用して、分度器要らず、さしがねだけで30度と60度は出せます。

30度と60度を引くときの、さしがねの当て方 左写真のA:Bが、2:1となるようにさしがねを置けば、さしがね左側の角度が30度、同様に右側が60度になるわけです。

例えば点Pから30度の線を引きたいときは、点Pから300mmの距離に点Qを取り、点Qに150mmの目盛を合わせて点P・Qを通るようにさしがねを置くということです。
 ※ A : B = 300 : 150 = 2:1

正三角形を半割りした図正三角形を半分に割ったと思えば、良くわかりますよね(^o^)┘

さしがね裏面の『角目』や『丸目』を使う

さしがねの表目盛と裏目盛(角目と丸目)

さしがねは裏面に角目や丸目が刻まれていることが普通なんですが、角目というのは普通のミリ単位の√2倍で目盛が刻まれています。 つまり角目の100は、実際の長さが100×√2=約141㎜ 

丸目はさしがねのコーナー部分の内側から目盛が始まっていて、ミリ単位のπ倍。 つまり丸目の100は、実際の長さが100×π=約314mm

これらを利用した使い方は、例えば・・・

① 火打ち梁の取り付きの墨付け

火打ち梁の平面図 『火打ち梁』というのは、水平に入れる筋交いのような部材で、梁・桁の間などの入れて、地震で建物が水平方向に歪む力に抵抗します。

火打ち梁が梁や桁に取り付く位置には、火打ち梁が滑らないよう掘り込みするんですが、その区間を墨付けする際、

火打ち梁の太さ(巾)がAとすると、取り付きの区間長さはA×√2になるので、

これをいちいち計算するのではなく、角目を使います。

角目で90の墨付け例えば、火打ち梁の太さが90とすると、角目で90の寸法を取り・・・

その位置で直角線を引くその位置に墨付け

火打ち梁受け口の掘り込み この区間をノミで掘り込み、火打ち梁の『受け口』ができました。


丸棒を使った木工作品例 左の写真は自作の花台ですが、この足のような丸棒は、角材から削り出して作っています。

鉋で正確な丸棒を削り出すには、正方形の角材を、一旦、正八角形に削り出し、それから十六角形 ⇒ 丸棒 と進むのがいいです。

正方形の角材から八角形を経て丸棒を作る流れ 何の目安もなく正確な円形に削り出すのは難しいんですよ。
だから一旦八角形を経由するのがベター

正方形と正八角形の数値比率 さて、正方形と正八角形の数値的な比率はこのとおりなので、・・・

左図のA:B=2+√2 : 1+√2
これを計算して丸めると
 A : B=√2 : 1

つまりAはBの√2倍・・・となり、さしがねの角目と表目との比率そのものになるわけです。

※ 途中の計算方法は詳しく聞かないでくださいね(^_^;
 よく分からないけど、とにかくそうなるんです(笑)

つまり正方形の一辺の長さを角目で測り、その読みを、表のミリ目盛で測ったのがBの寸法ということになります。

角材の一辺を角目で測る 角目で角材(正方形)の一辺の長さを測ります。

この例では29ですね。

角目の読み数値を表目にして、ケヒキをセット角目で読んだ29という『読み』を、表のミリ目盛の寸法でケヒキをセットしているところです。

ケヒキでの墨付け これで角材に墨付け

角材の両側から同様に墨付けします。

八角形に削るための目印線の完成 こんな具合になりました。

この線が、正八角形に削る際の目安

写真のA:Bが、√2:1の比率になるんです。

鉋による削り 線のところまで鉋で削り込みます。

4つの角を同様に削れば、正確な八角形の出来上がり

あとは目分量で十六角形に削り、その後は材料を左手でゆっくり回転させながら右手で鉋削りすれば、限りなく円形に近づいていきます。

最後にペーパー掛けして滑らかにすれば、丸棒の完成デス(^^)v

③ 丸目を使う

私は普段、丸目を使うことはあまりないですね~

丸目の目盛は表目のπ倍、つまり円周率倍なので、丸いものの直径を丸目で測れば、その目盛が即、円周の長さということになります。 例えばこんな使い方

丸目で直径を測れば円周が分かる 煙突やダクトなどを繋げるために、アルミテープの長さが全部で何メートル必要か?
・・・なんてことを調べるとき、

丸目で直径を測れば、計算しなくても円周の長さが分かるので便利

このダクトは、円周が約34センチだということが分かります。

等分割り

板の巾を普通に測る 例えばこの板を縦に3等分にカットしたいとき、板巾を測ってみると、285ミリありました。

これを3等分した位置に墨付けしたいのですが、285÷3 と計算で求めるのは面倒だし、間違えやすいので・・・

板巾を3等分する場合のさしがねの使い方 さしがねを斜めに当て、板の両端に、切りの良い数値がくるようにします。

この例では全巾が300になるように置いたので、
さしがねの100と200の位置を墨付けすれば、簡単に3等分の出来上がり(^^)v

さしがねの『巾』を利用する

さしがねの巾は15ミリ つまり尺・寸単位では1寸の半分の5分に相当します。
在来工法の木造家屋の墨付けでは、5分とか1寸単位が頻繁に出てくるので、さしがねが5分巾で出来ていると便利なことが多いです。

さしがねでホゾ穴の墨付け ほぞ穴の墨付けをしているところです。

ほぞ穴の巾は1寸=約30ミリ

なので、いちいち30ミリを測って点を打つのではなく、材の芯墨(中心線)にさしがねを添わせるだけで、芯墨から15ミリの位置に自動的に線が引けるわけです。

芯墨の両側にこれをやると完了

間違いが少なく、合理的だと思います。

深さを測る

さしがねのホゾ穴測定目盛 さしがねの裏、長手の先端には『ほぞ穴測定目盛』がついている。

先端から目盛が刻まれているので、ほぞ穴などの狭い穴に突っ込んで、深さを測ることができます。

太さを測る

さしがね2本で丸太の直径を測るこれはオマケみたいなモンですが(^^ゞ

森で立木の太さを測る道具に林尺(りんじゃく)というものがありますが、

林尺がないとき、2本のさしがねを使って立木や丸太の太さを測ることが出来ます。
ただし、読んだ目盛からさしがねの巾(15ミリ)を引いた値が太さになるわけですが・・・

※ 昔、仕事で山に行き、林尺を忘れたのでこの方法でやった思い出あり(^^ゞ