ダボ穴のあけ方、きれいな埋め方
ビスの頭を美しく隠す方法
ビスの頭を隠す『ダボ』も、種類によって仕上がりの感じがまるで違う
ビスを打ちっぱなしのままだと、どうにも不細工な感じがしますよね。
見た目だけではなく、ビスの周囲にヒビや『ササクレ』ができると危険でもあるので、ビスの頭を隠してしまいたいところです。
そのためには、ダボ穴をあけてからビスを打ち、ダボ穴を埋めるという手順を踏むのが一番!
このページではダボ穴のあけ方、埋め方の手順、使う工具、仕上げの目的にあったダボの種類の選び方など、モロモロについて書いてみます。
氏家誠悟(seigo uziie)
2004年からこのサイトを運営している個人です。自分で家2棟、小屋2棟をセルフビルドしました。「自分でわが家を作る本。」の著者です。
どんな仕上がりにしたいかによって選ぶべきダボの種類が変わってくるので、覚えておきたいところです。
とにかく目立たないようにするなら、埋め木を使う
拡大図
これはパイン材で作った自作本棚の一部なんですが、棚板を固定する3か所のビス頭を隠すのに、同材で作った埋め木を使っています。
埋め木の色合いや木目方向も、本体と同じにしているので、遠目にはほとんど目立ちません。
浸透性塗料を使うとダボが目立つ
オイル系、ステイン系などの、膜を作るのではなく染み込ませて着色するタイプの塗料を使うと、ダボの部分が強調されます。上の画像はオスモカラーの「チーク」を塗った状態です。
丸棒や木ダボの部分は繊維が垂直に走っているので断面に『木口』が露出しているため、云わばパイプの口を上に向けて並んでいるようなもの。
ここに塗料が塗られるとそこだけ強く着色されるので目立ってしまうわけです。
カラーだけでなく、たとえ透明のオイルでもやっぱり強調されて目立ってしまいます。
その点、埋め木の場合は繊維の方向が水平でなので、塗料の染み込み程度が周囲と同程度になるからさほど目立ちません。
さらに、できるだけ周囲の木の質感と同じ材料で作った埋め木を使い、木目の方向も同じにして埋めると良いですね。
むしろ目立たせたいなら丸棒を使う
これは自作の時計なんですが、丸棒を使ったダボで猫の肉球を表現しました。
丸棒はオイルの吸い込みが多くて良く発色することを利用したものです。オスモカラーの透明(クリア)を塗っただけで、こんなに発色して目立ちます。
特にマホガニーは真っ黒になるので、周囲のパイン材と色の差が際立ちます。
ダボの種類ごとの特徴
1、丸棒
ヒノキやヒバ、ラミンなどの樹種で寸法もいろいろ出回ってます。
【 長所 】
コストパフォーマンスが良い。
断面(木口)が作品の表面に出ることにより、オイルやステインなど浸透性塗料の吸い込みが良いので、ダボをアクセントにしたいときは便利。
【 短所 】
浸透性塗料の吸い込みが良いので、周囲の木材よりかなり濃い色になる。このため、ダボを目立たせたくない場合は不利。しかし木目を塗りつぶすペイント塗装なら問題なし。
丸棒の直径は微妙に正確でない場合がある。このため、開けた穴に対して、キツくて入らなかったり、逆に細すぎてスカスカになることもある。
2、木ダボ
棚板受けや木材の接合にも使われる、市販の木ダボです。
【 長所 】
面取りしてあるので、ダボ穴に打ち込む際に自分で面取りする必要がなく、作業性は一番手間要らず。
打ち込みの際に縦縞がつぶれるので、隙間なく穴にしっかり密着し、抜けることはまずない。このため、接着剤なしで打ち込んでも普通は抜けない。
【 短所 】
丸棒と同じく、浸透性塗料の吸い込みが良いので、ダボが目立つ。 ただしペイント塗装なら問題なし。
3、埋め木
同じ材料から作る「埋め木」です。専用のカッター(ビット)を使って削り出します。
【 長所 】
穴周囲の木と同じ質感のためダボが目立たない。
木口が表面に出ないので、浸透性塗料を塗っても、吸い込み具合が周囲と同じため、色の差が出にくい。最もダボが目立たない仕上げができる。
【 短所 】
手間がかかる。
長所と逆のことになるが、ダボをアクセントにする作品には不向き。
ビスの種類に合ったダボの径は?
一般の木工や大工仕事によく使われるコーススレッドは、頭の部分の直径が8mmくらいです。長さ90以上だと8.7mmくらいになるけど、いずれにしても9mm以下。
なので、コーススレッドを隠すには10mmで穴をあけて10mmのダボを埋めてやればいいです。
一方、少し小さめの物を作るときにはスリムネジや細軸コーススレッドがよく使われますね。板の厚さが薄いときは太いネジを打ち込むと割れやすいけど、スリムネジなどは細いので、その点有利です。
スリムネジなら、ダボ穴、ダボは8mmを使います。
スリムネジの頭の直径は6mmほどなので・・・(長さ65mm以上は7mm)
ダボはなるべく小さいほうが目立たないので、小さくできるなら小さいに越したことはないですからね。
ダボ穴あけ、穴埋めの手順(丸棒を例に)
1、まず、ダボ穴をあける
まずダボ穴をあけます。
この穴は、垂直にあけることはそんなに意識しなくていいです。
穴をあける深さは1cmくらいあれば十分ですが、私の経験では最低5mmあればなんとかなります。
板厚が薄い場合は、深い穴をあけると残りわずかになってしまうので、そうなるとビスを打っても効きが悪くなるし、下手すると貫通しちゃいます。(-_-;)
写真では「ダボ錐」を使っています。
ダボ錐だと一定の深さ以上にはあけられないので、深すぎてしまった!という失敗は少なくなるでしょう。
普通の木工ドリルビットを使って深さをそろえるには、ビットに目印としてビニールテープを巻くといいです。
一番確実なのはボール盤を使用することですけどね。
2、穴の中にボンドを塗る
ビスを打ち終えたら穴を埋めます。
ダボを固定するための接着剤は、釘や綿棒などの細いものを使って、ダボ穴の内側に塗るといいです。
あまり塗り過ぎると、ダボを入れた時にボンドがあふれてくるので、少しで良いのです。
3、丸棒を打ち込む
丸棒を使う場合は、穴に入りやすいよう、サンドペーパーで先端を回しながら軽く削ってやるといいです。
( またはカッターナイフやノミで面取りする。)
4、アサリ無し鋸でカットする
丸棒を打ち込み、アサリの無い鋸でカットしてやります。
ちなみにダボを切るには、断然、アサリの無い専用ノコギリが便利。
アサリのある普通の鋸だと、そのまま材の上に置いて切ると材に傷がつくので、紙などを挟んでからカットするのですが、カットした後は当然、ダボの先端が少し出ています。
これを、ダボの先端だけ周囲と同じ高さになるよう平らに削る・・・しかも周囲の材に傷をつけないように削るのは、簡単そうでじつはなかなか難しいのです。手間もかかります。
最後にサンドペーパーをかけてダボ埋め完了!
ちなみに、アサリの無い、ダボ切り専用のノコギリといえばやっぱりコレ
上手にやるためのポイント
1、きれいな穴をあけるには?
ペンキで塗って仕上げる作品とかガーデン用テーブル・イスなどなら全然問題ないんだけど、ちょっと精密な、レベルの高い作品を作るときは、ダボ穴が綺麗かどうかは割と大事なことなんです。
上の画像のように、ダボ錐であけた穴は穴の切断面が微妙に荒れていますね。
普通の木工用ビットを使った場合も同じです。
ここにダボを打ち込んで、オイル系やステイン系塗料で仕上げると、この荒れている部分が妙に目立ち、汚く見えてしまいます。
その点、ハイス鋼のドリルビットであけた穴は、切断面の丸が非常にスッキリと綺麗なので、ダボを埋めた後でオイル系やステイン系塗料で仕上げても、やはりスッキリときれいです。
ハイス鋼(=高速度鋼 high-speed steel )はさすがに切れ味鋭い! このHSSブラッドポイントドリルを私は愛用しています。
木工道具専門店オフの店で買いました。
ちょっと値段高いけどね。(^_^;
ちなみに、ハイス鋼の皿取り錐と埋め木錐のセットも市販されています。
2、接着剤は穴の内側に
接着剤(木工ボンド)はダボ穴の中に塗った方がいいです。
逆に、ダボの方に塗ったらどうなるでしょう?
この状態で打ち込むと、ボンドがよほど少量でない限り、ボンドが穴からあふれてきてしまいます。
仕上げにステイン系やオイルなどの浸透性塗料を使う場合は、ボンドは大敵。 色が乗りません。
こういう状態になったら、水で濡らしたウェスですぐに拭き取らないとボンドの成分が木の繊維の中に入り込み、そこだけ色が乗らなくなるから、汚いムラになっちゃいます。
接着剤はダボではなく、ダボ穴に中に塗る方が良いです。こういう事態は少なくなりますよ。
3、ダボ切りノコには、軽く指を添えると失敗しない
ダボを切るとき最も気をつけたいことは作品にキズをつけないこと。
ダボ切りノコはアサリがないので傷はつかない理屈なんだけど、それはノコ身がピッタリと板に密着していることが条件です。
ダボ切りノコはノコ身がすごくしなやかに出来ているので密着させやすいですが、少しでも手加減が狂って斜めになると、いかにダボ切りノコといっても傷がついてしまいます。
片手だけでやると、案外こういうことが起こりやすいです。
右手でノコを持ったときは、左手親指などをノコ身に軽く添えてやると良いですよ。
ノコと一緒に指を動かさなくてもいいんです。軽く押さえてやるだけ。
それだけで、ノコ身がきちんと作品に密着してるか、感覚でよくわかるんです。
これで作品に傷がつくことは、ほぼ無くなります。
4、カットは木目と平行に
アサリの無いダボ切りノコといえども、ちょっと手元が狂うと、ノコ刃が木材を引っ掻いて作品にキズをつけてしまいます。
その際、ノコを木目と平行に引いていると、仮にキズがついてもそんなに目立ちません。 後からサンドペーパーで仕上げるとほとんどキズは見えなくなることが多いです。
その反対に、ノコを木目と直交して引いていてキズがついた場合、かなり目立ってしまうし、サンドペーパーでキズを消すのもなかなか大変です。
ノコはできるだけ木目と平行に引くことをお勧めします。
埋め木を使ってダボ穴を埋める方法
埋め木を削り出してダボ穴を埋める方法をご紹介します。
削り出しにはプラグカッターなどを使います。
※ メーカーによって「埋め木錐」とか「木ダボドリル」などと呼ばれる商品もありますが、どれも埋め木を削りだすためのビットです。
画像のものは軸径が太いのでボール盤で使うものです。
軸径6.35mmの、インパクトドライバーで使えるプラグカッターも市販されていますが、埋め木の削り出しは手持ちのインパクトドライバーではなく、やはりボール盤を使うほうが断然うまくいきますね。
埋め木は削り出している途中で折れやすいので、真っ直ぐ、丁寧にゆっくりやると、折れずにうまく削り出せるのです。 垂直がブレると簡単に折れます。
ボール盤の深さ設定は、削る板を貫通させる場合と貫通させない場合がありますが、どちらでも良いです。
1、貫通させないで掘る場合
貫通させないので、埋め木は板の中に残ります。
この後、スキマにマイナスドライバーを挿し込んでこじってやると、簡単に折り取れます。
木目の方向が水平なので折れやすいんですね。(^^)v
2、貫通させて掘る場合
貫通させるため捨て板が必要です。 無駄な堀りをしないよう、深さ調整は、捨て板に接する程度にしておきます。
ボール盤で、プラグカッターをゆっくり目に回転させて堀ると、カッターの中に埋め木が残るので、釘などで引っ掛けて落とします。
大量に作る場合は釘など使って1個1個取り出すことはせず、そのまま次々に掘り続けると、埋め木がどんどん生産されて周囲に落ちます。効率が良いですよ。
3、あとは丸棒のときと同じようにやる
入り面をサンドペーパーで軽く削り、入りやすくします。 ダボ穴の内側にボンドを少々・・
せっかくだから、木目の方向を合わせるときれいですね。
あとはダボ切りノコでカットして、サンドペーパーで表面を仕上げて完了。
後から抜くことが出来るダボを埋めるには?
ビスの良いところは抜くのが簡単なこと。
だから、いったん作ったものでも気に入らなくなればビスを抜いて簡単にバラすことができます。
自作の棚を壁にビス打ちで取り付けても、場所を変えたいときなどはビスを抜いて移動も簡単。
しかし、後でビスを抜けるようにするには、ビスが露出していないといけないですよね。
ダボで埋めてしまったら、『簡単に抜ける』という便利な機能が失われてしまいます。
後でいつかビスを抜くかもしれない。 でも当面はビスの頭をダボで隠しておきたい・・・
そんなときはどうしましょう?
答えは簡単で、接着剤なしでダボを打ち、必要なときはダボを抜けばいいんですね。それには、木ダボが適しています。
接着剤無しでダボ埋めするには、木ダボ が適しています。 ダボの周囲にあるヒダヒダが潰れて入ることから、そのまま打ち込んでもけっこうしっかりとダボ穴に密着してくれるので、自然に抜けることはまず無いからです。
それに、繊維の方向が垂直なので、引き抜くときに壊れることもほとんどありません。
丸棒の場合は、接着剤無しで打ち込むと、乾燥にともなって簡単に自然脱落するおそれがあります。
埋め木の場合は割合密着度が高いけれど、繊維の方向が水平なので、引く抜きのときに簡単に壊れてしまって厄介です。
ダボを引き抜くときは、短いビスをダボの中心に打ち込みます。
そしてバールを使って引き抜きます。
けっこう強い力が必要なので、ペンチで挟んで引っ張ったくらいでは難しいです。バールがBest。
キズをつけないよう、バールの支点に薄ベニヤなどの当て板をしてから木ダボを引き抜きます。
以上、ダボ穴の開け方と、きれいな埋め方の説明でした。(^^)
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