セルフビルドの費用について


セルフビルドだからといって、必ずしも驚くほど安く家を作れるわけではないです。
自分の労力は基本的にタダと考えるので、家を作る費用は材料費と、一部外注するものがあればその経費ということになり、安く家を作るためには、どんな材料を使うかということと、どれだけ安く入手できるかにかかっているわけです。
こだわった材料を多用したり、効率の悪い作り方をすれば高くもなるし、逆に、やりようによっては本当に「驚くほど」安く家を作ることだって可能でしょう。

しかし、考え方を変えて、自分の労力を、自分の専門の仕事で稼ぐことに置き換えて考えてしまうと、じつはとても高くつくものかもしれないのです。
セルフビルドに仮に100日費やしたとして、そこで得られる「費用の節約」よりも、その100日間自分の仕事をしていたらどれだけ稼げたか?の比較ですね。(^_^;

だから、もしも仮に「安く上げるため」だけの理由でセルフビルドを選択するなら、ちょっと考え物ですよ。

このページでは、私の自宅建築費用の内訳や、工事ごとの、セルフビルドとプロ依頼の費用の比較、安く上げるためのポイントなどを、私の経験から書いてみます。
人それぞれ、家作りの目的も条件も千差万別でしょうから、どこまで自分でやるか検討するための参考になれば嬉しいです。

セルフビルドの自宅とセルフビルドの小屋

「坪単価」だけではわからない

私のセルフビルド自宅の建築費用は約860万円でした。この内訳はページの中で解説しますが、自宅は42坪ほどあるので坪単価にすると20万円くらい
これに対して、小屋の建築費用は約60万円(10坪)なので坪単価は6万円
こんなに差があるのは、やはり「家」と「小屋」では内容が全然違う!ということに尽きます。

木造建物を建てる際の費用を
1 構造部分、 2 内外装、 3 設備、 ・・・ という3つに大きく分類すると、建物のグレードによって大きく変動するのが「内外装」と「設備」であり、反面、「構造部分」はさほど大きくは変わらないのです。
しかも、「内外装」と「設備」は、欲をだせばいくらでも増えていく。 上限がないです。

小屋の場合は常時人が住むわけではないので、構造分部のウェイトが高く、内外装はソコソコで、設備なんて皆無でも小屋としては成り立つから、相対的に坪単価は圧倒的に安くなるわけですね。
しかし人間が生活する空間である「家」、即ち「住宅」はそうはいきません。


私の「自宅」の建築費用

セルフビルドは「どこまでやったら完成か?」 という問題があり、実際うちの場合も、本体の家ができた後から南側に2階建て屋根付きウッドデッキを増築したり、蓄暖などの暖房器具を増やしたり、レンガアプローチやカーポート、ウッドデッキなどの外構工事を今でも少しずつやっています。

いったい、いつになったら真の「完成」になるんじゃい!? という感じなので、どこかの時点で仮の「完成」と決めて、そこまでの費用を算出しないと話にならないです。

なので、本体が完成して引っ越しをし、生活をはじめた時点とします。このときは一部の内装(壁紙など)が不備なところはあったけど、内外装はもちろん、建具類、設備関係などが最低限揃い、生活をするのに十分な機能を完成させていた頃です。
これまでにかかった費用が約860万円でした。

【 自宅建築費用の内訳 】

1、構造部分

基礎工事・・・ 生コン13㎥、型枠80枚など 45万円
構造用木材(上棟までの分)・・・ 柱、梁、桁、母屋、野地板など 86万円
下地用木材(上棟以降の分)・・・ 間柱、筋交い、根太、合板など 35万円
建築金物一式・・・ 筋交い金物、ボルト類など 5万円
構造部分の小計  171万円

2、内外装

屋根・・・ カラーベスト600枚、水切りなど付属品一切を含む 27万円
サッシ、玄関ドア・・・ 北海道仕様のペアガラス樹脂サッシ(台形出窓4個含む)28枚 105万円
天窓(トップライト)・・・ 3尺角ペアガラス 3か所 20万円
外壁・・・ 窯業系サイディング、金物、タイベックなど付属品一切含む 70万円
断熱材・・・ ボード系断熱材・厚さ80ミリ、グラスウール・厚さ100ミリ・密度24K 26万円
内装材(天井、壁)・・・ 羽目板、珪藻土、石膏ボード、造作用集成材 43万円
床材・・・ 複合フローリング 17万円
室内ドア・・・ 6枚 20万円
内外装の小計  328万円

3、設備

キッチン、洗面台・・・ クリナップのシステムキッチンと洗面台(設置費込み) 79万円
お風呂・・・ クリナップのユニットバス・1坪タイプ(設置費込み) 77万円
給排水工事(外注)・・・ 不凍栓、凍結防止ヒーター有り、浸透桝2か所 35万円
給湯配管工事(外注)・・・ 室内設置型リモコン式ボイラー、給湯配管 56万円
トイレ・・・ ウォッシュレット付き簡易水栓トイレ、便槽に汲み取り式のため浄化槽無し 12万円
電機配線工事、アンテナ等・・・ 屋内配線はセルフ、電柱からの引き込みと電力会社への申請を外注 28万円
照明器具・・・ 23か所に設置 15万円
暖房器具(外注)・・・FF式ヒーター 14万円
24時間換気システム・・・ ダクト配管による熱交換タイプ 32万円
設備の小計  348万円

4、その他

建築確認申請手数料・・・ 検査・申請手数料など 3万円 (自分で設計し確認申請)
建築確認変更申請(外注)・・・ 建築中に延べ床面積が100㎡を超えてしまったため、プロの建築士に変更申請のみを依頼 5万円
仮設足場・・・ 知り合いから枠組み足場を借りられたため、タダ (極めてラッキーな例)   
その他もろもろ・・・ 約5万円
その他の小計  13万円

合計 860万円

自分で施工すればどのくらい節約できるか

私はこれまで大小4棟の木造建物を作りましたが、完全セルフビルドのものもあれば、分離発注でハーフビルドしたものもあります。
そこで、工事の内容ごとに、自分でやった場合とプロに任せた場合との比較ができる項目がいくつかあるので、実際にかかったお金の額で比べてみることにします。自宅(セルフビルド)と母の家(ハーフビルド)の比較です。

設計、確認申請

セルフ : 当初設計はすべて自分でやり、確認申請も自分でしたので、労力は当然タダ・・・だけど、役所に申請するので申請手数料はかかります。最初の確認申請と、完成してからの検査手数料です。これらは合わせて約3万円でした。
プロに依頼 : 建物は平屋で17.8坪(59㎡) 間取り図はこちらで決めていたので、平面プランニングは無し。この内容で、設計、監理を建築士に依頼して(もちろん確認申請を含む)、386,000円+税=405,300円でした。
 ◇ 関連ページ ⇒ 設計を建築士に依頼した事例

基礎工事

(どちらも布基礎で、防湿コンクリート敷きです。)
セルフ : 45万円 
プロに依頼 : 105万円(当初の見積もりは143万円(税込)だったけど、なんとかお願いしてまけてもらった。)
※ 基礎自体の面積は、セルフの自宅が16.8坪、プロに依頼の母の家が17.8坪でほぼ同じくらい。
ただし、強度はほぼ同じだと思うけど、仕上がりの見た目はやはりプロ製作のほうが断然きれいでした。

構造材の刻み加工

手刻みとプレカット

(仕口や継手などの刻み加工の労力です。木材価格は含まない純粋に加工賃のみ)

セルフ : もちろんタダ
プロに依頼 : 「プレカット」の料金ということになります。17.8坪の平屋で 106,800円+運賃23,600円 計 130,400円(税抜) 当時の税込では計 136,920円
※ セルフの労力はタダと考えるけど、家一軒分の墨付け・刻み加工は相当の時間がかかりますゾ
一般に大工さんが普通サイズの2階建ての家一軒分の刻みを手加工すると、4人で1週間くらいかかると、知り合いの大工さんから聞いたことがあります。つまり延べ28人工ということになるかな。
しかし私の場合の実績は、約40坪ほどの家の墨付け・刻みに、その倍以上、つまり延べ60日くらいかかっていたように思います。(きちんと記録していたわけではないので正確ではないですが・・)
この時間で自分の専門の仕事をして稼いでいたと仮定すると・・・ wow!!
 ◇ 関連ページ ⇒ 個人でプレカットに加工を依頼した事例

棟上げ(上棟)

セルフ : やる気のある友人たちを大勢を呼んでやってしまった。手土産代くらいはかかるが、基本的にはタダ
プロに依頼 : 17.8坪の平屋の棟上げ作業に 101,850円
※ 私の経験から、平屋ならセルフでいいけど、2階建ては危険性が格段に違うので、プロに依頼するのが賢明。
 ◇ 関連ページ ⇒ 棟上げを専門業者に依頼した事例

足場架設

セルフ : 私の自宅建築のときは、材木の購入先のおじさんが意気に感じて足場をタダで貸してくれたので、非常にラッキーでした。ただし、足場架設・撤去作業はすべて自分でやりました。
プロに依頼 : 17.8坪の平屋の足場架設・撤去作業と60日のレンタル料で 97,650円(1日延長すれば400円追加)
※ セルフビルドで意外に悩ましいのがこの足場架設。平屋なら脚立2台と足場板を移動させながらなんとか工事できなくもないけど、2階建てなら足場は必須。
 ◇ 関連ページ ⇒ 足場架設とレンタルを業者に依頼した事例

屋根工事

セルフ : カラーベストとアスファルトシングルの施工実績から、どちらも1㎡あたり 2,700円くらい
プロに依頼 : 長尺カラー鉄板横葺きの施工で、1㎡あたり 2,765円
※ 屋根は、私の経験からは、セルフビルドとプロ依頼の差が最も少ない工事のように思います。
まあ、材料が違うから何ともいえないですけど・・・
屋根工事の費用の比較については、こちらのページに詳しくまとめています。
 ◇ 関連ページ ⇒ DIY セルフビルドの屋根づくり


費用を抑えるポイントは何か?

基本的に「自分でやる工事」の比率が高くなればなるほど費用を抑えられるので、時間の許す限り、あるいは技術的・体力的にも可能だと思われるなら、挑戦してみるのが良いと思います。

安く家を建てるもう一つのポイントは、単純なことだけど、やはり安く材料を手に入れること。
とはいえ、特別な伝手を持っていない限り特別に安く入手することはできないでしょうから、「単価の安い材量で家を建てる」しかないですね。

「こだわり」という要素を抜きにして、費用を抑えるためだけなら、私の経験から言うと、以下の点を検討してみるのが良いと思います。

建物の形状を単純にする

セルフビルドに限らず、よく言われることだけど、家の形状は単純なほうが手間と材料の無駄が少なくて有利。
単純な切妻屋根の家、単純な四角形の家・・・

基準寸法の倍数で設計する

柱や間柱の間隔、垂木の間隔、根太の間隔などを、1間とか3尺とか、1尺や1尺5寸とか、そういう基準の寸法及びその倍数で設計すること。
構造用合板や断熱材、羽柄材の木材などはそういう寸法で家を作ることを想定して商品がラインナップされているので、基準寸法にそって設計されていると材料の無駄が少なくていいのです。
例えば断熱材なんかも、間柱間隔1尺5寸の中に丁度良く収まるように製品が作られているので、もしこれを、自分独自の「変な寸法」を多用して家を作ろうとすると、材料の切断作業や捨てる部分がやたらと多くなって、時間的も費用的も無駄だらけになっちゃいます。

外壁材

防火に関する規定のない地域なら、杉板を鎧張りにした外壁が、費用の点で圧倒的に安上がり。
塗装を工夫すれば見た目もGood!
 ◇ 関連ページ ⇒ 杉板張り外壁の施工事例

内装壁

内装の壁下地として石膏ボードが一般的です。石膏ボードは単価が非常に安いもので、ある程度の断熱性や遮音性もあるので、ケチらずに施工したほうが良いと私は思います。
そのうえで、仕上げ材として市販の壁紙を貼るというのが一番お手軽で安上がり。(ありふれてるけど)

市販の樹脂サッシと、自作の窓

断熱性に優れたペアガラスサッシは、やはり価格が高いですよ~。うちの自宅でも外壁材全部の価格より窓の価格のほうが高いですからね。
なので、窓を少なくするか、窓を自作するのが安上がりの手段。温暖な地域なら自作窓でもイケルのではないでしょうか。
もし自作するなら、気密性の点からは「引き違い窓」よりも「すべりだし窓」のほうが、パッキンを使って機密を確保しやすいと思います。
 ◇ 関連ページ ⇒ 樹脂サッシ取り付け事例、 上げ下げ窓の自作事例

ドア、引き戸

自作の室内ドア

一般的に建具は自作するとかなり費用節約になります。ただし、その人の「腕」によって出来ばえの差が出やすい分野でもあると思いますよ。窓も同様ですが・・・
市販の建具を買ってきて取り付けるのが一番簡単で間違いないですが、自作もやりがいがあります。
私の事例では、実内ドアは購入すると3万円~だけど、自作すると材料費5千円~1万円くらいで出来ちゃう。しかもセンスによってはオリジナルなデザインを楽しめるかも。
 ◇ 関連ページ ⇒ 市販のドアの取り付け事例、 自作のドア(フラッシュ)事例、 自作の引き戸事例、 自作の引き違い戸事例

給排水衛生設備工事

給水管敷設工事は自治体の指定業者でないと工事できないことになっているので、「山奥で自家水道」などというシチュエーションでない限り必ず外注することになります。
しかし、塩ビ管を使って、既に屋内に配管されている給水管を延長したり排水管を設置したりするのはさほど難しい作業ではないので、増改築などで出来ることは自分でやると、かなり安上がりになると思います。

キッチンも、私の場合はメーカー品のシステムキッチンを入れましたが、パーツをネットなどで買いそろえて自作している方も多いようですね。時間とこだわりの許す限り、これも節約のポイントになると思います。

配線工事

電気の屋内配線をするには電気工事士の資格が必要ですが、この資格は学歴・職歴関係なく、試験に合格すれば誰でも取れるので、家をセルフビルドするなら是非この資格を取って、自分で屋内配線するのが、私としてはお勧めしたいところです。
費用の節約になるのはもちろん、住み始めてからも、電気関係のちょっとしたことも自分で作業できるのが嬉しいところ。じつはそういう場面というのは数多くありますよ。
 ◇ 関連ページ ⇒ 電気工事を自分でやる、 第二種電気工事士の資格を取るには

家作りへのこだわりについて

セルフビルドだとかなり自由度が高いので、自分のこだわりを実現するには都合がいいですね。

私の場合の「こだわり」は、 ① 内装に木を多く使うこと。 ② 窓と出窓、天窓をたくさん設け、室内を明るくすること。 ③ できるだけ安く作る。そのため、自分で出来ることはなるべく自分でやる。 ④ 妻の希望、特にキッチン関係はできるだけ希望どおりに作る。 といったことでした。

セルフビルドの家に多くみられるような、無垢材にこだわるとか、銘木にこだわるとか、自然塗料や自然系の断熱材を使うとか、カッコイイ薪ストーブを入れるということはしませんでした。(ただし、構造材はなるべく地元の木材を利用しましたけどね)

本当は、欲を言えばキリがなくて、外観もログハウスのような圧倒的なワイルド感、ウッディーな感じが好みであったし、床も無垢材がベストでした。
しかし2階建ての場合は外壁のメンテナンスには足場架設が必要になるため、将来を考えればメンテが少なくて済む材料が好ましいし、猫を3匹飼っていて、よく嘔吐するので、変色しやすい無垢材はあきらめました。
また、お金もあまりないので、やっぱり「安く作る」ことは大きな目標でありました。
煙突含め100万円もするような薪ストーブは無理。(^_^;


どこかのブログで私の自宅について、せっかくセルフビルドで建てているのに、外壁がサイディングになってしまったり、床が合板フローリングだったり・・・と、無垢材系を使用しないことについて材料の選択が悪いと批判めいたことを書いておられる人がいましたが、それらの材料は、いずれも理由があって選択したもの。
他人に批判されるような事ではありません。
セルフビルドは自分の家を、自分の好きなように作ればよいのですから。(法の範囲内で)

人それぞれ、時間的、技術的、体力的、経済的条件が違うし、家作り・小屋作りに対する思い入れや好み、目的なども千差万別です。
他人の意見には耳は傾け向けつつも、そのようなものに惑わされることなく、自分に合った予算やこだわり・作り方で、自由奔放に家作りを楽しむ。 これが一番じゃないかな。

  セルフビルドの費用について