DIYで断熱材の施工
家の断熱材をすべて自分で施工してみました
断熱材の搬入状態
DIYでも断熱材の施工は出来ます。簡単ですが、誠実に丁寧にやる必要があります。やってきた結果、手を抜こうと思えばいくらでもできる工程かなという印象を受けました。
断熱材も、自分で施工すれば手を抜くことはありませんから、その点は安心ですね。(^^)v
このページは屋根と壁の断熱材施工について書いています。
床下断熱材についてはこちらのページをどうぞ ↓↓
氏家誠悟(seigo uziie)
2004年からこのサイトを運営している個人です。自分で家2棟、小屋2棟をセルフビルドしました。「自分でわが家を作る本。」の著者です。
概要
この家の断熱方法は、一般的な充填断熱、いわゆる内断熱です。
屋根断熱は、押出法ポリスチレン板を厚さ80ミリ、(床断熱は、すでに施工しているが同様に55ミリ)、壁断熱は、グラスウールの100ミリを入れました。
グラスウールはこの家の壁厚からいって100ミリが限度ですが、性能を上げるため密度の高い24Kを使いました。( Kの数字が大きいほど高性能 )
断熱材にグラスウールを使う場合には特に、室内から壁内に湿気が侵入するのを完全に遮断する必要があります。
グラスウールの室内側に防湿層がありますが、それだけでは不安なので、さらに防湿シートを施工しました。
屋根の断熱材を入れる
屋根断熱材に用いる押出法ポリスチレン板搬入状況
商品名は「カネライトインサー」
垂木と垂木(タルキ)の間に押し込みます。
両サイドに溝が切ってあり、幅方向に伸縮するので、押し込んだら落ちてきません。
厚さ40ミリのものを二重にして取り付けました。
断熱材の製品は、垂木間隔455ミリ用なのですが、この家の垂木間隔を450ミリにしてしまったため、そのままではきつ過ぎて押し込めないのです。
やむを得ず、すべての板をカッターで5ミリ切り取るという作業をしなければならなくなりました。ゴミは出るし、いいことなし。
製品の理解が事前にあればこういうことはなかったのですが・・・
※ なお、カットする道具としてはカッターよりもノコギリを使ったほうが早く楽にできます。
途中で気がついてからはノコギリに変更しましたよ。
中央に見える棟木の左側は1枚入れた状態。 右側が二重に入れた状態です。二重に入れると厚さ80ミリとなります。
上下の断熱材は、相端の部分が重ならないように、交互にずらして敷きこみます。
屋根断熱材は、野地板に密着させず、野地板との間に通気層を設けています。
タルキ高さ=105ミリ 断熱材=80ミリ その差 25ミリが通気層になるわけです。
夏は、軒裏の穴開きボードから入った空気が暖められて上昇し、頭頂部にあけてある通気孔から抜けていきます。
屋根断熱材の設置完了状況
壁の断熱材を入れる
壁断熱材に用いるグラスウール到着
こんなにどっさり!
幅43cm、長さ137cmの6面パックのグラスウールが、1梱包に11枚入っています。
ということは、286枚分となります。
圧縮して梱包されているので、袋を破ると、ムクムクと起き上がってきます。見ていると面白い!
こういう感じで、間柱と間柱の間に、「フワッと」入れ込みます。(左の写真は、断熱材の断面がわかるようにわざと切っています。)
ただ単にギューギュー押し込むと、両サイドがふわっとならないようなので、サイドに手を入れたりして、うまくフワッっとなるように押し込みます。
パックの両サイドに「耳」がついているので、そこをタッカーで留めます。
防湿層である黄色の面を室内側に向けます。
筋交いにあたる部分は、カッターナイフで切り取りました。
切り取らないでも施工できますが、筋交いまわりの断熱材が押しつぶされたような感じになって、そうなると全体に歪んだ状態で入ることになり隙間が出来やすく、断熱性能が落ちると思われたからです。
また、間柱~間柱ではなく、管柱~間柱間では、幅が4cmほど狭くなるため、同様にカッターナイフでカットします。
これも、カットせずにギューギュー詰めれば入りますが、最適な寸法でないものをギューギュー詰めにするとグラスウールは歪んでしまい、サイドに隙間が出やすくなります。
断熱材は、隙間があったら意味なしです。
したがって、ほぼすべてのグラスウールに、何らかの切り込み加工が必要になりました。
ちなみに、この写真では素手で、肌を露出させていますが、グラスウールの細かい繊維が肌をチクチクと刺して感じ悪いので、これ以降、暑い日でも手袋をして長袖を着ていました。
筋交い当たりの欠きこみ状況と、埋込スイッチボックス当たりの欠きこみ状況
電気配線に用いる埋込スイッチボックスは、グラスウールで囲んでこのようになります。
1階東側、施工前
1階東側と2階南側の施工後
隙間なく施工するために
断熱材は、家中の断熱すると決めた範囲を隙間なく取り囲むように施工しなければなりませんが、上の図のように、壁内の根太から下の部分や、間仕切り壁の床面から下などは、断熱材をきっちりと詰めてやらないと隙間が生じやすいです。
床下部分は、筋交い当たりや金物などで複雑な形状の場所があるので、この部分だけは分けて断熱材を充填しました。そうしないとうまく充填出来ないのです。
私は上の図のように、床下の内側に床断熱材と同じ発泡系のカネライトインサーを入れ、外側にグラスウールを詰めました。隙間なく施工するにはこの方法が具合がいいようでした。
台形出窓の下も隙間なく断熱材を詰め込みます。
ただし断熱材の厚さ以外の部分は、空間が勿体無いので収納空間にするよう、あけておきました。
防湿シートを貼る
壁内結露を起こしたら大変です。
室内から壁内の湿気の侵入を確実に遮断するため、グラスウールの上から、さらに防湿シートを貼りました。
(グラスウールは水分を吸ってしまうとなかなか抜けず、断熱性能が低下するだけでなく、水分の重さでずり下がったり、カビの温床になると言われています。)
購入したグラスウールは一応室内側に防湿層はありますが、施工時のの取り扱いで耳の部分との境が容易に裂けてしまったり、寸法に合わせて切った箇所があったりと、そのままでは完全な防湿にはならないなあと思われたのです。
これが専用の防湿シート。 その名も「ボーシツ」!!
・・・わ、分かりやすいですね。
1巻き50mで厚さ0,2ミリ、巾が2m40cmもあります。
こういう巾のある材料をうまく巻き取って、所定の寸法に切り出すのって、意外に施工上難しいのです。一人でやるのは大変です。そこで工夫しました。
ジャーン!
これが自作の、防湿シート巻き取り装置 (^^ゞ
まず、防湿シートのロールの中空部分の両側に、それぞれ1mほどの丸棒を挿し込みます。
いつも使っている自作の「馬」の上に、平行キャスターを2個逆に取り付け、2個のキャスターの間に丸棒を掛け渡す。
「馬」の上の少し離れた場所に、防湿シートと平行して板を一枚置いておきます。これでOKです。
相棒が防湿シートのロールの端を持って、所定の寸法を引き出します。
そして防湿シートをカットするときは、「馬」の上に掛け渡しておいた板の端に金物を取り付けておいて、そこにカッターナイフの刃をあててスライド!
非常にきれいに真っ直ぐに切れます。(^^)v
(ちなみに金物は、外壁サイディングの付属品だったコーキングバックアップ材の余りです。)
防湿シートの貼り付けは、間柱の上からタッカーで固定しました。
床面との接触部は、防湿シートが隙間なく密着するよう、両面テープで固定しました。
床面はまだ楽だけど、天井にある2階根太の凸凹にあわせて、アルミテープで隙間なく防湿シートを密着させるのが非常に手間でした。
断熱材の施工は、本当に誠実にやろうとすれば相当手間のかかるもの・・・という印象です。
断熱材、防湿シート、その上から石膏ボードを一部貼った状態の写真です。
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