下屋の物置を作る
廃材利用で格安に (^_^;
車のタイヤとか園芸用品とか、冬場の除雪スコップとか、家の中に置きたくない大物グッズの置き場に困っていたので、 以前作った10坪の工房小屋の西側に「下屋」として物置を増築しました。
出来たのがコレ。


広さは間口1.2m 奥行き3.5m(約1.25坪)です。
今回は出来るだけお金をかけたくない!
丁度良く、知り合いの家の移転解体時に出た廃材を少しいただけたので、この際、余り物の材料を総動員して作ることにしました。 よって、出来栄えや精度は二の次。
(^^ゞ
そもそも下屋(げや)とは

上の画像のように、主屋(おもや=「母屋」とも書く。)に付随して作られた屋根のある部分のこと。
建物の主要部分ではなく、「出っ張り」みたいなモン。
屋根と柱だけで作られた下屋は、農機具やバイクなどの置き場になったり、洗濯物干し場になったりと、とても重宝します。
直射日光を避けつつ風通しの良い空間って便利なんですよね。♪
屋根だけじゃなく、床と壁のあるものも下屋と呼びますね。物置にはするには丁度いいです。
うちの工房棟にも、後付けで下屋を作りました。
床と壁もあるので、物置にしています。
下屋作りの有利な点
- 主屋側の壁は主屋の壁をそのまま利用するため、壁が一面だけで済む。
- 下屋の屋根を支える横架材のうち、主屋側は「垂木掛け」を主屋の壁に打ち付けて固定できるため、普通の梁・桁のように太くて長い材料が不要。
このため、増える面積の割に材料費が少なくて済む・・・というわけです。
下屋作りの基本的な構造
主屋からの出っ張り長さが1間以内の小規模な下屋ならば、以下のような簡易な構造で十分だと思います。

主屋側の壁に垂木掛けを固定し、垂木を乗せ掛け、屋根をかけるという構造です。
反対側は普通の建物作りと同様に柱を立て、その上に桁を乗せ、その上に垂木を乗せる必要があります。
他には、下屋の桁と主屋を掛け渡す梁。
土台については、巷では柱の下の土台を省略し、独立基礎に柱を直接固定する例もよく見られますが、やはり土台を挟んだほうが柱の脚部を固める意味でも安定感が増しますね。
垂木掛けの固定
垂木掛けは、主屋側の壁に打ち付けて固定するので、普通の梁桁材よりはるかに細い材でもOK
問題は主屋側の壁に固定する際の釘やビスを打つ位置ですが、壁材そのものは保持力がほとんどないので、母屋の壁の下地である柱や間柱に効かせないといけません。
普通の住宅のようなサイディングの壁なんかだと、どの位置に柱や間柱があるのか、外見ではわからないですね。
この場合は、なんとかしてどこか一か所でも柱の位置を見つけ、そこから距離を測って他の位置を割り出す方法が良いでしょう。
在来工法住宅の柱・間柱の間隔は、一般的には1尺5寸・・・つまり455mm(中心間距離)です。
施工中の画像で見るとこんな感じで入っていますね。↓↓

梁の設置
下屋の桁と主屋を掛け渡す梁については、かなり小規模な下屋ならば省略しても大丈夫だと思いますが、構造物全体の変形を防ぐためにも梁はあったほうが良いでしょう。
主屋と下屋を同時に作る場合は、主屋の柱の途中に梁を繋ぐスタイルになるので、一般的な仕口としては「傾ぎ大入れ ほぞ差し」が使われると思います。もちろん、羽子板ボルトと併用します。
うちのセルフビルドの自宅もこの仕口を多用しました。

かたぎおおいれ ほぞさし
でも後付けで下屋を作る場合は、主屋の外壁を剥がして柱を加工することは現実的じゃないので、主屋の壁と金物で緊結するのが手っ取り早くて良いでしょう。
今回作った下屋もそうしています。

「梁」といっても、この場合は屋根荷重を受けるものではなく、下屋の変形を防ぐことや、ドアの開口部の下地を兼ねる役割しかないので、細い材料(2×6材)で済ませています。
主屋との屋根接続部分の取り合い
雨漏りを防ぐために・・
横殴りの雨が吹き込んできた場合、主屋と下屋の接続部分の構造がいいかげんだと、そこから雨水が浸入してしまいそうですよね。
きちんと施工するにはどういう納まり(おさまり=部材どおしの細工の仕方・構造)が良いでしょう?
主屋と下屋を同時に作る場合(=後付けではない場合)の、主屋の壁と下屋の屋根の取り合い部分の納まりは、一般的には以下のとおり。↓↓

下屋の野地板が張られた後の手順としては・・・
- 下屋の野地板の上にアスファルトルーフィングを貼る。 アスファルトルーフィングは主屋の壁に20cm以上立ち上げる。
- 下屋の屋根材を貼る。
- 下屋の屋根の最上部に捨て板を打ち付け、捨て板と屋根材の接触ラインをシーリング。
- 雨押さえ役物(金属板の水切り)を被せ、下部(横)から捨て板に釘打ち固定し、釘頭をシーリング。
- 主屋の壁に透湿防水シートを貼り、下端は両面テープで雨押さえ役物に貼り付けて密着させる。
- 主屋の外壁材を貼る。(通気胴縁を挟む場合もあり。)
ちなみに、雨押さえ役物(水切り)は、こんな形状をしています。
( 私が自宅をセルフビルドしたときに使用したものです。)

さて問題は、下屋を後付けで作る場合ですね。
主屋と同時に作るなら上記の手順でやれば完璧なんですが、後付けとなると、既存の主屋の外壁材の内側に水切りを差し込めないため、完全に上記の手順どおりにするのは無理です。
雨押さえ水切りの上部先端は、主屋の外壁の外側になるので、ここから横殴りの雨水が浸入しないように、水切り上端と主屋外壁との接触ラインをシーリングするとか、さらにその上からトタン板などで二重に覆うとか、通常は何らかの措置が必要になるでしょう。
廃材利用で作った下屋物置の制作経過
材料の内訳は以下のとおり。
1、もらった廃材や、以前からの余り物
土台・根太・梁桁・筋交い・壁下地やドア材料になる板材や角材、屋根のアスファルトルーフィング、水切りなど
2、新しく購入した物
屋根の波板、床板と野地板に使った下地合板、タルキに使ったツーバイ材、壁に使ったプラダンシート
※ 購入したものの合計は1万5千円程度で済みました。(^_^;
土台や柱
知人宅からいただいてきた建築廃材の例。
これは多分、住宅の梁に使われていたものと思います。

太くて丈夫そうでいいんだけど、こういう材料って、アチコチに釘が刺さってたり、余計な桟木が打ち付けてあったりして、使える状態にするまでに手間がかかるんですよね~
格安(というかタダ)だから仕方ない(^_^;

この材料は土台に使うことにしました。
地面に穴を掘り、砕石を突き固めて重量ブロックを2段重ね、その上に乗せただけの、これ以上ないくらい手抜きの土台デス(^^ゞ


小屋本体とは金物で固定することにして・・・
次!
向こう側に置く土台の材料はコイツだ。 でもコレって、捩れているんだよね~

カクノミを使って土台にホゾ穴をあけ、柱材にもホゾを刻んで柱を建てました。
根太は2寸5分、柱は3寸5分の角材。
柱も根太ももらい物なので、ペンキが剥げまくったり汚れまくったり・・・
根太は見えなくなるからいいけど、柱材はディスクグラインダーで表面の汚れを削り落としました。
すると、綺麗な木肌が登場! まだまだ使えるジャン。
さて、捩れた土台に柱を建てるの図。
本当は、土台をきちんと削って捩れを修正してから使うのが本来の正しい姿。
でもそれは大変な労力を要するので、このような手抜き工法になりました。(^^ゞ
よい子は真似しないように(笑)
土台の下に、楔形に削った木材を突っ込み、柱のホゾは、斜めになった土台のホゾ穴に合わせて、真っ直ぐ立つように削るという裏ワザ。
あっ、でも左の図は角度を大袈裟に書いてるんですよ。

桁材を柱のホゾに差し込んだところです。
垂木・野地板・屋根・壁

垂木はツーバイ材を平使いにして桁に乗せかけ。
さて、主屋との取り合い部分はこうなっています。

垂木掛けには断面30×105の間柱材を利用しています。
垂木掛けを釘などで固定するんですが、主屋の外壁は杉板のよろい張りで、丁度良い高さ位置がよろい張りの段差部分だったので、いったん補強材を縦に打ち付け、その上から垂木掛けを固定しています。
なお、垂木には普通の2×4材(ツーバイフォー材)を使いました。 スパンが短いので平使い(横置き)でも強度的に十分でしょう。
反対側の様子はこのとおり。↓↓

野地板を張っても、垂木の厚み分の隙間ができるので、適当な角材を室内側から隙間に押し込み、ストップしたところで固定します。
こういう部材は「面戸板」(めんどいた)と呼ばれます。
野地板は12mm厚の合板を使いました。 まあ、標準的ですね。
屋根にはアスファルトルーフィングを敷いた上に塩ビ波板。
外壁(というほどでもないけど)は、サンプライシート。(通称プラダン)
これはホームセンターで手に入る面材としては一番安いものじゃないでしょうか? なんたって910×1820のサブロク版が500円ですからね。 (^^)
じつはこの材料は以前にも仮設ポーチに使ったことがあり、プラスチックなので腐らないし、思ったより対候性があって長持ちしてます。
それに、適当に光を通すので、明かり採り窓をつける必要がないのもイイッスね~
サンプライシートは、下地に笠釘で固定しました。
屋根と主屋との取り合い部分

屋根下地のアスファルトルーフィングや、主屋との取り合いに使う雨押さえ水切りなども、本宅を作ったときの余り物がちょうど良いくらい残っていたので、うまく処分を兼ねて活躍できました。
水切りの上部は、完璧な雨仕舞のためにはシーリング等すべきなんでしょうけど、この場所は主屋の軒下深く入り込んだ位置で、なおかつこの地区は周囲を林に囲まれて風が弱いので、雨水が入ることはまず無いと判断し、何もせずこのままにしました。
ドア作り


最後に入り口ドア作り
これは角材を「日」の字型に組んで、スギ板を縦に張っただけもの。スギ板も、主屋を作ったときの余りです。
板どうしは2センチくらい隙間をあけて張り、その上から4センチ巾の板を被せてビス留めするという、最も簡単な方法。
被せたところの上下に隙間が出来るので、スタイロホームをカットして、ボンドを塗ってはめ込みました。
これで、物置に虫が入るのを防ごう!
その他、小屋の中の隙間という隙間は、けっこう小まめにコーキングして、虫たちの侵入を防いでいますよ。

ドアには丸穴をあけて、内側から網戸ネットを張りました。のぞき窓のつもり。
完成しました



屋根下の三角の部分には網戸のネットを張って通風を確保しました。屋根の出っ張りのすぐ下なので、雨の吹き込みはなさそうです。
主屋と同様に、破風板を白ペンキで塗装してアクセントに・・・
なお、この時点で写真には写っていませんが、このままではドア自体の重さでドアの形状が歪んでしまうので、この後、ワンバイ材を内側から斜めに打ち付けました。 内側からの「取っ手」と「筋交い」の役目を兼ねています。
この物置って、パッと見、なんだか昔の家の「離れのトイレ」みたいに見えるかも。
(^_^;
見た目は悪くとも、ここは家の裏手で誰からも見えない場所。 けっこう収納力があり、重宝しています。
デザイン二の次。安さ重視! (笑)
氏家誠悟(seigo uziie)
2004年からこのサイトを運営している個人です。自分で家2棟、小屋2棟をセルフビルドしました。「自分でわが家を作る本。」の著者です。

自分で住処を作れるようになろう!
DIYで本格的な木造建物を作る方法を、動画で詳しく解説したDVDです。 私の作品です。
ご自分で家を建てるために、きっとお役にたつと思います。