DIY日曜大工で家をつくる
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DIY的な型枠の作り方
個人で効率良く作るための全ノウハウ

DIYで作った布基礎の型枠
最終更新日 2023年11月9日

型枠を作ってそこにコンクリートを流し込む・・・というワザが使えると、DIYの巾がぐんと広がります。
 (^^)v


個人のDIYだとブロックを積むほうが取っつきやすい・・・と感じるかもしれませんが、型枠による構造物作りにはたくさんメリットがあるのです。

メリット
  1. 一体化したコンクリート造となるので、強度的に強い。鉄筋も自由に入れられる。
  2. 自由なサイズで作れる。
  3. 意外に作業が楽。自分で持ち上げる材料は、せいぜいコンパネくらいなので、重いブロックを1個1個積むよりも作業が楽なんです。
    コンクリートは重いけど、生コンは一輪車で運んだりするので、さほど腕力は必要ないです。


デメリット
  1. 型枠は仮設資材なので、作業が終わると不要になり、邪魔。
  2. しかも1度しか使わない仮設資材にお金をかけたくない。


・・・このデメリットを減らし、少ない仮設資材でいかに効率よく、楽に型枠DIYを行えるか、私のこれまでの経験からまとめてみました。

書いた人 ・ 運営者

氏家誠悟(seigo uziie)
2004年からこのサイトを運営している個人です。自分で家2棟、小屋2棟をセルフビルドしました。「自分でわが家を作る本。」の著者です。
元岩手県の技術系職員(森林土木・木材関係)
第二種電気工事士、DIYアドバイザー、林業改良指導員及びバックホー等の重機運転資格が有ります。


一般的に、プロが作る型枠はこんな構造になってます

B型丸セパと型枠

メタル型枠じゃなく、コンパネで作る場合の例です。

コンパネの間に丸セパをはさみ、Pコンにフォームタイのシャフトをねじ込んでいます。
※ Pコン = 通称ピーコン = 型枠用のプラスチックコーン

型枠とフォームタイ

シャフトに、パイプ押さえの金具を挿入し・・・

フォームタイに単管パイプを取り付け、型枠を締め付けている

単管パイプをはさんでナットで締め付けることにより、型枠が固定されるという仕組み。
※ この画像はパイプ1本用だけど、パイプ2本用のタイもあり。

この方法では、丸セパだけはコンクリートの中に埋め殺されるので使い捨てですが、ピーコン、フォームタイ、単管パイプは使い回しします。

もちろん、この方法だと丈夫で立派な型枠ができるわけだけど、いち個人がDIYで作るとなると、仮設資材が多くて、これらを買いそろえるのはいかにも勿体ない気がしますね。 業者と違って、何度も使うわけではないですから。

そこで、DIY的な型枠の作り方としては、仮設資材を少なくするやり方でいきます。

フォームタイと単管パイプは使いません。
コンパネを外側から押さえる役目は、板ナットで行います。型枠の保持だけならこれで十分。

DIY的型枠の模式図

DIY的型枠の模式図

建物の基礎を作る場合の模式図です。(布基礎)

型枠材は厚さ12ミリのコンパネを使い、巾の固定&開き止めのためにセパレーター(丸セパ)を使用。

まずフーチン(ベースの広い部分)のコンクリートを打って固まった後、立ち上がり(上の細い部分)に型枠を組んでいきます。
ほかには桟木などの細かい仮設資材が必要になるので、以下、詳しくは順を追って説明しますね。

DIY的型枠の一例
立ち上がり部分の型枠組立て中 立ち上がり部分の型枠の完成

単管パイプなどを使わない、いわばケチケチした仕様なので、当然ながらその分のデメリットはあります。

それはつまり、仕上がりの構造物のラインがキッチリと直線ではなく微妙に波打つとか、そんなことですね。
シロートっぽいのです(^_^;

でも皆さんが作ろうとする構造物が、どの程度の完成度を求めるかによって、考え方を柔軟にすれば良いと思います。コンクリートの強度に影響するわけじゃなし。形状も、ほぼ設計どおりに完成します。

ちなみに私はこれまで、建物の布基礎3棟分と、コンクリート土留め擁壁2か所をこの方法で作ってきましたが、個人的には十分満足してますよ。

ベース部分の型枠を組んだ状態 ベース部分のコンクリート打設後、型枠を解体

コンパネについて


コンパネというのはコンクリート型枠用のパネルのことで、住宅用の構造用合板とは違います。

型枠に使うのはまさにこのコンパネで、厚さ12ミリ、表面は比較的滑らかな合板です。これはホルムアルデヒド放散量の関係などから内装には使えません。

サイズも、住宅用の構造用合板が910×1820なのに対し、コンパネは900×1800です。

このコンパネを、自分の作りたいコンクリート構造物のサイズに合わせてカットして型枠にするわけですが・・・

構造物の高さが300~420程度なら、迷わずコンパネを縦にカットして450×1800にしてしまうといいです。
(実際には鋸刃の厚みが削れるので448×1800となる)

構造物の高さが100~150程度で一定しているなら、その高さを巾としてコンパネを縦カットすればいいし、構造物の高さが150~270程度ならコンパネを縦等分で300×1800・・という感じ

コンパネは、よく見られる900×1800のほかに、600×1800もあります。作る構造物の高さによってはこれが重宝しますね。ホームセンターではあまり見かけないので、材木店や建材店に問い合わせるといいでしょう。

ちなみに私の自宅の基礎コンクリートは立ち上がり部分の高さが550あったので、このコンパネを使用しました。

【 関連 】⇒ コンパネは再利用できるのか?

もっと高級(?)なものとして、コンパネの表面をウレタン樹脂でコーティングされたパネコートと呼ばれるものがあります。 黄色かオレンジ色に見えるやつ。

普通のコンパネより2~3割増しで価格が高いけど、これを使うと表面の仕上がりがきれいですよ。

セパレーター(丸セパ)について

C型丸セパとコンパネ

コンクリートの比重は2.3もあるから、生コンを型枠に流し込んだときの力はものすごいデス。

これに耐えて壊れないようにするのが型枠の絶対条件なんだけど、そのほかに、寸法が正確であることと、コンクリートが硬化したあとに解体しやすいことが必要。

この3つを同時に解決してくれるのがセパレーター(通称「丸セパ」)なわけです。

丸セパのサイズ・・・即ちこれがコンクリートの壁厚になるんですが、これは100、120、150、180、200、250、300、350・・・というふうに、以下50刻みで商品があるようです。(単位はミリ)

何メートルなんていうような、すご~く長いものもあるようだけど我々DIYには多分関係ないでしょう(^_^;

丸セパの種類

代表的なB型、C型のほか、BC型とか、ほかにも断熱材のついた基礎用とか、カップ付きのものとか、いろいろあります。

種類と用途は、私が長々と説明するより このページ が詳しいです。


丸セパのピッチと穴径

丸セパをセットするピッチ(間隔)は、私は経験的に40cm程度にしています。

コンパネを縦半割にした型枠材に対して、この図のような配置で穴をあけ、セットしているわけです。
丸セパの穴あけの配置図


丸セパの太さは8ミリ(2分5厘)。 だから穴はそれより若干大きな9ミリであけると良いです。

対になったコンパネのセパ穴は同じ位置になるので、作業を効率よくするためには、同じサイズのコンパネを何枚か重ねて一気に穴あけすると良いでしょう。

型枠を、作りながらその場その場で考えてコンパネをカットしたり丸セパ穴をあけるのではなく、型枠材の割り付け図を最初にきちんと書いてから組立て作業したほうが断然効率が良いですよ。

私の場合は、買ってきたコンパネをすべて縦半割にして、455×1800のサイズ(または150×1800とか)にしてしまい、上記の配置図のようにセパ穴をあけてしまいます。

あとは現場で、型枠割り付け図のとおり組み立てるんですが、当然、コーナーや端部などでは、不要な丸セパ穴があったりします。でもそれは、後述するように内側からガムテープでふさいでしまえばいいです。

丸セパのB型とC型の違い

B型

B型丸セパの仕組み

B型使用の場合は、丸セパの両端にピーコンをねじ込み、コンパネではさんで、出た突起のネジ部を板ナットで締め付けて完了。(高級にやるには板ナットではなくフォームタイ)

丸セパは埋め殺しだけど、ピーコンと板ナットは取り外して再利用できます。

B型はコンクリート打ち放し用とされています。
生コンが硬化し、型枠を解体してピーコンを引く抜くと、ピーコン部分が陥没しているわけで、ここにモルタルを詰めて完成させるというもの。

コンクリート構造物としてはこれで完成です。だからコンクリート打ち放し用。
表面をモルタル仕上げしていないコンクリート構造物は、ピーコン跡の丸い型がついていますよね。アレです。

C型

C型丸セパの仕組み

C型使用の場合は、丸セパの両端に板ナットをねじ込み、コンパネではさんで、出た突起のネジ部を板ナットで締め付けて完了。

丸セパと、内側の板ナットは埋め殺しだけど、外側の板ナットは再利用できます。
なのでC型の場合は1か所に板ナットが4枚必要 ⇒ このうち2枚が使いまわし・・・となる。

C型は仕上げ用とされています。
生コンが硬化し、型枠を解体すると、丸セパの先端がコンクリート表面から飛び出ているわけです。

この先端部分は、金槌で叩くと折れます。 折れた跡には内側の板ナットが見えている状態で、最後に構造物の表面をモルタル仕上げしてキレイキレイにします。だから仕上げ用。

あと、BC型というのもありますよ。片側がB型になっていて打ち放し用で、もう片方がC型というやつ。

最近はカップのついた丸セパ(=カップセパレーター)が主流のようですね。 丸セパもどんどん進化しているのでしょう。

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さて、DIY的な型枠の作り方としては、私はC型を使っています。

でも、最後にモルタル仕上げする高級なものを作っているわけではなく、C型使用なのに「コンクリート打ち放し」で終わりにしているのです。(笑)

というのも、擁壁とか建物基礎のコンクリートは、下半分は土の中に埋まって見えなくなるので、型枠を解体した後の丸セパの先端が出ていても、そのまま土を埋め戻してしまうので見えないからいいや・・・という考えなのです。

地上の、見える部分については、さすがにセパの跡が見えてカッコワルイですが、これをカッコワルイと思うか、「まあ、細かいことはいいんじゃない? 施工の跡が見えるのも味がある。」程度に考えるか・・・(^_^;

その辺、好みや条件に合わせて丸セパの種類を選べばよいと思います。

一度しか使わない仮設資材をなるべく少なくするという・・・という考え方からすれば、ピーコン不要なC型は、その分経済的。


あと、高さの低い構造物なら、C型丸セパの位置を工夫することでこんな方法もアリ。

上部の丸セパより低い位置に生コンを打設した例

これは土留め擁壁を作っているときの画像。生コン打設中です。

型枠材はコンパネを縦半分カットしているので、高さ45cm。 コンクリートの高さは34cmの設計なので、コンパネには上部に約10cmの余裕があります。

上部の丸セパ(C型)をこの余裕部分にセットしているので、コンクリート上部に丸セパの跡は出ません。
一方、コンクリート下部の丸セパ跡は当然出てしまうけれど、土で埋め戻して見えなくなるわけです。

完成したコンクリート擁壁

こうして作った例が、このような駐車場の土留め擁壁です。

出来上がったコンクリートの地上部分にはセパレーターの跡がどこにもなく、スッキリしています。

コンパネの継ぎ目の処理


いくらセパレーターを使っても、コンパネの継ぎ目(ジョイント)の部分は、そのままで生コンを打つと、出来上がったコンクリートに段差ができてしまいます。

コンクリート型枠用合板といえど木材なので、「反れ」があるからです。

継ぎ目の段差をなくすには、プロはコンパネの縦横に桟木をめぐらし、フォームタイと単管パイプで強固に型枠を作って対処しますが、DIY的にはそこまでしなくとも、こんな簡易な方法で解決しますよ。

コンパネの継ぎ目の処理

継ぎ目をまたいで、コンパネの切れ端を4か所ほどビス留めします。

これだけで継ぎ目の補強板としての役割を果たし、段差解消 (^^)v

打ったビスはコンクリートに埋まるけど、抜けなくなるのでは?・・・と心配する必要はありません。難なく抜けますよ。

あと、施工精度が悪くてコンパネの継ぎ目にスキマがあるようなら、内側から布製ガムテープを貼ってやるといいです。
数ミリの隙間程度ならそれで大丈夫なんです。

桟木をつけなくても大丈夫か?

上下に桟木を取り付けた型枠

これはプロの施工現場
コンパネの上下に桟木(さんぎ)を打ち付けているし、コンパネに単管パイプが密着して締めているため、段差がほとんど出ない。立派な型枠ですね~


それに対して、私の作る、DIY的費用節約タイプの型枠は・・・(^_^;

桟木を部分的にしか取り付けていない型枠

基本は桟木を使わず、組んでみて目に余るほどラインが波打っていたり段差ができそうなところだけ、部分的に桟木を打っています。 しかも片側だけ。

(セパがあるのでコンパネどおしの間隔は一定。なので、片側が固定されると、対岸もほぼ固定されるため)

※ ちなみにこの画像は、何度か型枠として使用したコンパネの使いまわしのため、けっこうヨレヨレになって直線が出にくくなっていました。

型枠が動かないようにするための控え杭

基礎立ち上がりの型枠を組むときは、ところどころに、型枠が垂直に立って動かないようにするため「控え杭」を打つのですが、杭を型枠天端に固定するためにビスを打つ際、コンパネに直接ビス打ちしても効きが良くないので、やっぱり角材がほしいところ。

そのためにも桟木が必要なんですが・・・

控え杭と桟木

なんと! この例では杭がかかる箇所だけ部分的に桟木をつけているのです。
なんてケチな・・・

いえ、これも仮設資材の節約デス。これでも立派に用は足りています。

型枠の下端を固定するための処理

下の桟木に打ち込んだコンクリート釘

これはプロの施工現場
ベースコンクリートの上に基礎立ち上がり型枠を組んでいます。

型枠上下には桟木を取り付けているので、桟木からコンクリート釘を打ってベースに固定してます。これが一般的なやり方。

※ ちなみに、私もこの方法は使いますが、コンクリート釘を打つときは最後まで打たないことです。

普通の釘のように最後まで打つと、解体するときにバール(釘抜き)が入りにくくて苦労しますよ~(私の最初の失敗談)

頭を、数ミリは残すようにするといいです。

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下端固定の手抜き・・・というか、簡易な方法 (^_^;
コンパネの切れ端で型枠の下端を固定した例

桟木を使わない、コンパネだけの型枠の場合。
ところどころに、小さなコンパネの切れ端を、型枠下端に添わせてコンクリート釘で打ちとめます。

これで型枠の横ずれを防げるわけですね。 小規模な型枠だったらこれで十分イケル。

※ この場合のコンクリート釘は最後まで打ち込んでも大丈夫。
解体するときも、バールの先端を釘ではなくコンパネ切れ端とベースコンの間に入れれば簡単にはずせます。

これで横ずれは防げるけど、生コンを打ったときに型枠の浮き上がりの心配はないのか?

実際にやってみて、浮き上がったことはないです。

まあ、セパレーターが型枠と固定されているので、生コンがセパを押さえる感じになって浮き上がりを防ぐ効果があるのかもしれません。
また、これは型枠の断面形状が長方形だからいいけど、もしも「ハの字」になっていれば浮き上がるでしょうね~

コーナーの処理

型枠のコーナー部分と、桟木の配置

型枠コーナーを固定するには、コンパネに縦の桟木が必要。

さて、桟木とコンパネは釘やビスで打ちとめるわけですが、どういう方向に打つかよく考えないと、型枠を解体するときに苦労しますよ~

外側コーナーは簡単だけど、内側コーナーは要注意!

外側コーナーの場合

コーナー外側の桟木と釘の配置

普通に、コンパネ側から釘またはビスで桟木を固定し、生コンを打ってOK。 型枠の解体も、イラスト右側のビスを抜くだけで簡単にできる。


内側コーナーの場合

コーナー内側の桟木と釘の配置(悪い例)

型枠を組んでいる段階で、何も考えずに両方のコンパネとも、コンパネ側から釘やビスを打ってしまうと、ご覧のとおり。 ビス頭が生コンの中に入ってしまいます。

これ、どうやって解体するんじゃ? 


私は昔、最初の建物として自宅を作った際、この失敗を何か所もやりました。解体するのにエライ苦労した記憶があります。(^^ゞ

コーナー内側の桟木と釘の配置(正しい例)

正解はコレ
一方は角材側から長ビスを使って打ちとめるといいです。 これなら解体するときに角材側から打ったビスを抜けば良いので・・・

ビスの先端は生コンの中に入っていますが、難なく抜けますよ(^^)v

端部の処理

コンパネをビス留めした、型枠の端部

こんなふうにコンパネの端部に取り付けた縦の桟木に、止めのコンパネ側からビス留めすればOK

DIYで作る程度の構造物なら、これでほとんどの場合、壊れません。

石を詰めて押さえた、型枠の端部

地面より深い位置だと、型枠端部は、ビスを打つためのインパクトドライバーが入らないような狭いスペースになるときがありますね。

そんなときは、適当な石を隙間に押し込んでおくだけでも大丈夫なことが多いです。

型枠剥離剤を塗っておく


コンパネの型枠には、なにか油を塗っておかないとコンクリートがくっつきやすくなり、解体するときに大変です。

私が自宅をセルフビルドしたときは、専用の型枠剥離剤を購入して使いました。

業務用なので量が多く(一斗缶)、本格的に家を作るぞ~! というときにはいいかもしれません。

でも個人のDIYでちょっとした構造物を作るときは、これでは量が多すぎて不経済。

型枠剥離剤の代用として、灯油が使えます。 灯油が無いときで、量がすごく少ないなら、ナント!家庭用の天ぷら油なんかでもOK

型枠剥離剤の代用として、コンパネに灯油を塗る

これは、型枠を組み立てる前に、あらかじめコンパネに灯油を塗っているところです。

ゴム手袋をして、100均のスポンジに灯油を含ませ、全面に塗っていきます。

組み立ててからでは、丸セパなどが邪魔で作業が面倒。 あらかじめ塗っておいたほうが楽です。

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セメント離型剤 500ml

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最近見つけたのですが、少量で販売されている剥離剤もありますね。

これならDIYのちょっとした型枠作業に使うなら丁度良いかもしれません。

これひとつで型枠面10㎡以上塗れるようです。

型枠剥離剤はどうしても必要か?

私が実際に何度かやってみた経験からいうと、高さ15cm程度までの型枠なら、剥離剤無しで生コンを打っても、解体するときにくっついて困るということはないです。

ごく小さな構造物なら、あまり気にしないでも大丈夫なようですよ。

コンクリートの高さを示す釘を打っておく

生コン打設天端位置を示す釘
  

コンクリートをどの高さまで入れるのか、型枠の段階で何か目印をつけておかないと、生コン打設のときに慌てます。

目印としては、コンパネにマジックやサインペンで目印を書いたとしても、打設の際に生コンで汚れてほとんど役にたたないですから、釘かビスを打っておくのが一番!

上の画像はプロの施工現場。 生コンを入れる高さに水平墨を打ち、墨線にそって数十cmおきに釘を打っています。
型枠の内部は狭いので、釘を内側から打つのは玄能が入りにくく、釘はご覧のように斜めに打たれています。

生コン打設後にも、目印の釘が見えている

こちらは私のDIY型枠。生コンが入った後の状態です。

コンパネ外側に水平墨を打ち、外側からビスを打っています。個人的にはこのほうがやりやすい。

もちろん水平墨は、水糸からの下がり寸法で位置出しをするのですよ。決してコンパネの端から何センチ・・なんてやらないように。

そして生コンを入れるときは、釘(ビス)が隠れないようにします。釘が隠れると、高さの確認ができません。

生コンの天端はコテ均しをするので、釘の下もコテが通ることになり、コンクリートの実際の仕上がりは釘からコテ板の高さ分、下がった位置になります。

※ 布基礎の場合、型枠を解体した後で「天端均し」のモルタルを1~2cm盛って最終仕上げとなるので、型枠に生コン打ちの段階では、天端均しモルタル分の厚さを差し引いた高さに仕上げます。

 

アンカーボルトを、あらかじめ固定しておく

アンカーボルトを、型枠の所定の位置に固定する
  

木造建物の基礎にはアンカーボルトを埋め込むけど、型枠作りの段階でセットしといたほうがいいです。

生コンを流し込んだ直後に挿入していくやり方も(俗に「田植え」と呼ばれる)もあるけど、本数が多いと慌てるし、万一コンクリートが固まるまでに作業が間に合わなければ大変なことに・・・

それに、田植え方式だと、ボルトがしっかりと隙間なく埋め込まれてるか心配な面があります。特にボルト下端付近。


事前にセットするには、穴をあけた板にボルトを通し、板を型枠天端にビス留めし、ボルト下端は鉄筋に結束線で固定しておけばいいでしょう。

この際、ボルトの「高さ」が重要なので、私はこの画像のようにナットを取り付けた状態で板との間に角材のスペーサーをはさみ、ナットを回すことで高さを細かく調整しています。

アンカーボルトのネジ部にビニールテープを巻く

生コンを打つ前に、アンカーボルトのネジ部にビニルテープを巻いておきます。

生コン打設のときにアンカーボルトを汚さない自信があるなら要らないけど、私の場合、たいてい何本かは生コンが付着してしまうんだよね(^_^;

ネジ部に付着して固まるとやっかいなので、それをふせぐためです。

  

生コン打設用の小道具も用意しておく

  

型枠が出来たからといって、それだけでは生コン打ちの準備完了じゃないです。

プロの施工現場では、生コン車のほかにポンプ車が来て、ポンプ圧送で生コンを入れる場合が多いですが、個人のDIYでは、一輪車で生コンを運ぶのが一般的でしょうね。(多分)

その際、狭い型枠内にうまく流し込むために、現場に応じていろいろ工夫して小道具を作っておきます。

これらを、作業の都度移動させながら生コン打設をしていくわけですね。

こういうのは何か教科書があるわけではないので、自分で考えます。
私の場合は、こんな感じでやってきました。

小道具の例 その1

手作りの、生コン打設シューター

地面から離れたところの、地面より低い位置の型枠に、生コンを一輪車で流し込むための小道具

一輪車で広い面に生コンをぶちまけた後、木をT字型に組んだ小道具で型枠内に押し込みます。

小道具の例 その2

型枠の足乗せ台
  

型枠の上に片足を乗せて作業するためのステップ

横ずれしないようにコンパネ切れ端の両側に桟木を取り付けただけのもの。
これを型枠の上に乗せ、作業の都度、場所を変えます。

小道具の例 その3

型枠を一輪車で横断するためのブリッジ

一輪車(ネコ車)が型枠を横断するためのブリッジ

ブリッジ本体と、両側にコンパネでスロープ

小道具の例 その4

高い位置に生コンを入れるためのスロープ
  

高い位置から一輪車で生コンを流し込むためのスロープ

ブロックなどで台を設け、そこにコンパネのスロープを乗せただけ。


打設の道具はまだたくさんある


上記の小道具はあくまで 「生コンを型枠に入れる」 ための小道具です。

入れた後の処理については皆さんご存じのとおり、生コンに振動をかけて気泡を排除し骨材どうしの密着性を良くしたり、天端の均しなどの作業があるので、そのための道具が必要になるんですが、ここは型枠作りのページなので詳しく触れません。

プロの現場で必須なのはコンクリートバイブレーターですが、これは5万円前後するものなので個人がDIYするために購入するのは厳しいですね。

振動をかけるためには、型枠を外側から金槌やゴム槌で叩いたり、生コンを棒でつつく方法も有効です。 DIYで作る小規模な構造物ならこれでも充分。

でもコンクリートバイブレーターがあるとやはり圧倒的に楽で便利なので、DIY向け(?)のお手頃価格のバイブレーターをひとつ持っておくと良いかもしれません。

コンクリートバイブレーター
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コンパネは再利用できるのか?

  

ブロックを積むなどど違い、型枠を使った構造物は仮設資材が多いのが特徴。

仮設資材を何度も使うプロの業者と違い、個人のDIYではなるべく仮設資材を少なくするか、次のDIYに使い回ししたいところですね。

コンパネは、1回生コンに触れたからといって腐るわけじゃないので、複数回使えます。

型枠として使用した後のコンパネ
  

一度使うと、こんなふうにセメント分が付着して汚れるし、部分的に凸凹したりして、このままでは次回に使えないので、ケレン掛けをします。

私はディスクグラインダーにワイヤーブラシなどをつけてやりますが、1回でほぼきれいにバリなどが落ちます。

ディスクグラインダー用
カップワイヤブラシ

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とはいっても、次回にわざわざ汚れたほうの面を使うこともないので、次回使うときは裏面・・・つまり前回の型枠で生コンに触れなかった「外側」の面を内側にして使います。

さらに次々回にはその逆・・・というふうにやれば、何度でもイケル?

でもやはり、2回、3回と使ううちにコンパネ自体の反りが大きくなったり、ブヨブヨした感じがでてきたりするので、限界はあるでしょう。
自分は3回までしかやったことがないです。3回までは十分イケル。

丸セパの穴を布製ガムテープでふさぐ

セパレーターの穴の位置は毎回違うので、前回の穴はふさがないと生コンが漏れます。

穴をふさぐには、内側から布製ガムテープを張るのが簡単でいいですよ(^^)v

次回使うときは、ガムテープを貼ってからコンパネに灯油を塗りましょう。 先に灯油を塗っちゃうと、ガムテープがくっつきにくくなります。

コンパネの最終処分

  

型枠としての「使命」を終えた後のコンパネはどうするのか?
何度使いまわそうが、最後には不要になっちゃうからね。

バラバラなサイズのコンパネは持っていてもほとんど使いようがないけど、450×1800などと決まったサイズのコンパネ群ならば、屋外の屋根付き倉庫などに保管しておけば、なにかと役に立つことが多いです。

今後の屋外のDIYのために、ちょっとした仮設物の材料にしたり、物置小屋の床下地にするとか、わざわざ新品の材料を買うまでもないような場面に重宝するのです。

それでも、あんまり量が多いと、全部使うわけでもなく保管場所も取られるので、処分したほうがいいですよね。

処分はそれぞれの自治体のルールに従って・・・ということになりますが、私の地元自治体では、「自分で解体した小規模の住宅・小屋の廃材」などは、自分で直接、清掃センターに持ち込めば良いことになっています。

そこで、廃棄処分することにした型枠材(コンパネ)を大量に持ち込んだことがありました。
受付で手続きを済まし、指示された場所で車からコンパネを下しはじめたところ、傍にいた係員が、

あっ、これは型枠じゃないか! 型枠は産廃だから、ここでは受けられないよ。

セパレーターの穴があいているので、見る人が見れば型枠だと分かっちゃいます。

しかし私は、

これは日曜大工で使ったものなんです。 自分ちの小屋を自分で作ったときのものなんですよ。自家用です。業務用じゃないです。

そう言ったら、係員は何も言わず去っていきました(^_^;

だって本当に自家用であって、『産業』廃棄物じゃないからね。

以上、長々と説明してきましたが、DIY的型枠作りのあれこれでした。

覚えておくと、実際の場面できっとお役に立つと思いますよ。 それでは~~
 (^_^)/~~~~~~




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