自分で木造建物を設計する手順
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このページではアンカーボルトの位置の決め方について書いています。
位置については原則があるので、必ずそれを守ります。
とはいえ、アンカーボルトの位置を決めるためには、まずその前に土台の継手の位置を決めておかないといけないので、まずは土台の継手位置のことから説明し、次いで、アンカーボルトの位置について説明します。
9 土台継ぎ手の位置を決める
土台に限らず、軸組みを構成するすべての部材は、継ぎ手の位置や種類を決めるのですが、
土台の継ぎ手に関してはアンカーボルトの位置に大いに関係するので、これだけは早く決めてしまいます。
逆に言えば、アンカーボルトの位置決めは、土台の継ぎ手位置が分からないと完全には決められないということになりますね。
「継ぎ手」というのは材木を長さ方向に継ぎ足す部分のことです。
※ ちなみに、長さ方向ではなく直角方向などに継ぐ部分を「仕口」といいます。
製材所・材木店から購入する材木は、柱用は3m、通し柱用は6m、その他の構造材は4mが普通一般的な長さです。
ですから4mの材木で土台をつくることを考えると、この例の家では東西方向に掛け渡す土台に継ぎ手が必要なことが分かります。
では継ぎ手の位置をどこにするのか?
その前にどういう継ぎ手を用いるか?
今回は最も一般的で、且つ加工がそれほど難しくはない腰掛け鎌継ぎを使います。
腰掛け鎌継ぎはこんなのです。各部の寸法は適当に設定しますが、軸の幅は30ミリにしておくのが便利です。
今回は下の図のような寸法で腰掛け鎌継ぎの継ぎ手をつくることにします。
さて継ぎ手の詳しい寸法も決まったし、継ぎ手の位置をどこにするか?
丁度真ん中にすると、真ん中には柱があるので、継ぎ手の真上に柱が乗ることになってしまいますからダメです。
真ん中の柱の左右どちらかに寄せてつくります。
継ぎ手は、柱芯から 300ミリほど持ち出してつくるのが良いですから、真ん中の柱周辺はこんな感じになるといいでしょう。
ではこの案でいくとして、4mの材木で長さが足りるかどうかチェックしてみます。
柱は 1820ミリおきに立っています。 柱の芯で3本分の長さが 3640ミリ
柱芯から継ぎ手の端までが 300ミリ
柱芯から外側の端までが 53ミリ (105ミリの柱を使うとして、その半分の厚さ)
以上を合計すると、 3640 + 300 + 53 = 3993 ミリ
ギリギリで4m以内におさまりました (^o^)
10 アンカーボルトの位置を決める
基礎に設置するアンカーボルトの位置についてですが・・・
アンカーボルトは基礎と土台を緊結する大変重要なものですが、アンカーボルトの位置を決めるには次の原則を守ります。
- 筋交いを用いた耐力壁の部分は、その両端の柱の下部にそれぞれ近接した位置
→ 地震や風の水平力で柱が引き抜けるのを防ぎます。
- 土台の継ぎ手の上木端部の位置
→ 上から押さえ込んでしまえば両方固定できますからね・・・
- 出隅については、柱に近接した位置
- それ以外の箇所は、間隔 2.7 m以内に設置
この原則を守ってアンカーボルトの位置を決めてみましょう。
図のアンカ-ボルトのうち
- 2 と 4 については・・・筋交いを用いた耐力壁の両端の柱の下部にそれぞれ近接した位置
- 1 と 5 については・・・上記の理由のほか、出隅については、柱に近接した位置
- 3 については・・・土台の継ぎ手の上木端部の位置
さて、この中で 一番間隔が広いのが 2と3の間 ですね。
開きすぎていないかチェックします。
2のアンカーボルトは柱芯から200ミリ、3のアンカーボルトは柱芯から300ミリ離して設置するとすれば
2と3の間隔は 1820 + 200 + 300 = 2320 < 2700
2.7m以内になっているのでOK! (^o^)
次は建築確認申請の図面を描いてみましょう。
次へ ⇒ 建築確認申請図面を描く
氏家誠悟(seigo uziie)
2004年からこのサイトを運営している個人です。自分で家2棟、小屋2棟をセルフビルドしました。「自分でわが家を作る本。」の著者です。
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