DIYでコンクリート土留めを作る
ミキサーで生コンを練り、マイペースで作りました
土地が傾斜していて利用価値が少なかった場所を、駐車場にするため、低い位置にコンクリートで土留め擁壁を作り、中を埋め戻して平にし、土地を有効活用しました。
完成までの一部始終をご紹介します。
施工前と施工後
施工前
敷地は、見た目よりかなり傾斜していて、測ってみたら一番高い所と一番低いところの高低差はナント! 1メートルもありました。
施工後
車が乗るところは、車止めの位置にコンクリート擁壁を作り、砕石敷きこみ。
2台駐車するため、巾は6mほどあります。 後方はウッドデッキで水平を確保
水盛り・遣り方・鉄筋・型枠組み
まずは位置決めをして、遣り方をかけます。
一方は水貫がこんなに高いけど・・・
他方はこんなに低いのです。 そんだけ傾斜してるってこと(^_^;
ちなみに水平を出す作業のことを水盛り(みずもり)といいますが、この作業にはバケツと透明ホースを使います。
【関連ページ】 ⇒縄張り・水盛り・遣り方の方法
地面を掘るラインを、赤スプレーでマーキング
地面を掘る時は、要らないところまで掘ってしまうような無駄な労力をかけないよう、マークは欲しいデス。
今回は、スコップでひたすら人力掘削だよ~
掘りすぎないよう、時々水糸からの下がり寸法を確認します。
【関連ページ】⇒ 水糸の張り方
その後、砕石を投入して突き固め・・
突き固めも、今回は規模が小さいのでランマなどのレンタルはせず、柱材でドスドスと人力転圧です。
(今回の砕石はクラッシャーラン25~0)
【関連ページ】 ⇒ 砕石の購入方法
型枠を組みます。
今回のコンクリート擁壁は、住宅の布基礎と同じように断面が逆T型をしています。
そのため、まずはベース部分の型枠組み。
ベース(フーチン)部分の巾は30cmにしたので、L=300の丸セパを使用。
型枠材はコンパネで、内側に剥離剤代わりとして灯油を塗っています。
鉄筋を組みはじめました。
ベース部分の主筋は、丸セパの上に2本乗せて結束しています。( 高さ位置が自動的に固定されるので楽 )
コンクリートはベース部分と立ち上がり部分を別々に打つけど、鉄筋が繋がっているので、ベースに生コンを打つ前に、立ち上がり部分の鉄筋もすべて組んでしまいます。
立ち上がり部分の主筋が、空中の所定の位置に納まるよう、私はご覧のような治具を使っています。
この状態で組立筋を配置して固定しまい、その後、治具を引き抜くわけです。 こうしないと、一人ではとても正確な配筋はできないです。
鉄筋の切断には、高速切断機が大活躍。
以前は必要な都度、ホームセンターからレンタルしていましたが、新品でも1万円台で買えるので、今は自分のものを持っています。
単管パイプなども簡単に切断でき、大変重宝 (^^)
バーベンダーと水道管を使って、鉄筋の曲げ加工
バーベンダーの柄に水道管を突っ込むことで、テコの原理で楽に曲げられます。
【関連ページ】⇒ 鉄筋加工について
擁壁・立ち上がり部の配筋をしています。
車による横からの衝撃荷重が考えられるため、U字型の組立筋を30㎝ピッチで配置してみました。
横からの衝撃で、立ち上がり部分がベース部分から折れてしまおうとする力に対して、U字型の組立筋の引っ張り強度で対抗しようという考えです。
主筋にはD13、組立筋にはD10を使っています。(住宅の基礎と同じ)
鉄筋組立完了
これからベースにコンクリートを流し込みます。
ベースコンクリートの打設
コンクリート打設は、本来は生コン車を買って一気にやるのが早いんですが、それだと短時間で作業をこなさなければならないため人手が必要で、友人などに助っ人を頼まなくちゃならないです。
以前は妻と二人だけでやったこともありますが、妻ももう(年で?)体力が全然なくて、とてもアテにできません。(^^ゞ
今回は最初から最後まで自分一人だけですべての作業をこなす予定なので、生コン車は呼ばず、コンクリートを自分で作ります。
袋セメント、砂、砕石を買い込んで準備万端
この年は、駐車場だけでなく、デッキ基礎、土留め擁壁やレンガ積みなど、DIYのコンクリート工事をたくさん予定しているので、砂もセメントも大量に買い込んでいます。
【関連ページ】 ⇒ 砂やセメントの購入について
このため、以前から欲しかったコンクリートミキサーをついに買っちゃった~! 当時は約5万円でした。
回ってます、回ってます(^^)
今回のコンクリートの配合比率は、いわゆる1:3:6と1:2:4の中間をとって、4:10:20にしました。
つまりセメント4リットル、砂10リットル、砕石20リットルの比率です。
セメントは目盛り付きバケツで4リットルを測り、砂は10リットルのバケツに擦り切り一杯。
砕石は角スコップで6~7回、ミキサーの中に直接投入です。
スコップ1回で何リットルあるかは、事前に測ってみました。その結果、6~7回で20リットルになるからです。
【関連ページ】 ⇒ コンクリートミキサーを使う際の留意点、メリット・デメリットなど
そういうことで、まずはベースへの打設完了。 この程度の量なら、一人でも一日で楽勝(^^)v
3日後に脱型。 おっ、まずまずの出来 (^^)v
※ ちなみに型枠を外す(脱型)のは、夏なら3日、冬なら5日以上おくのが普通です。
立ち上がりの型枠とコンクリート打設
次に「立ち上がり」の型枠を組んでいます。
立ち上がり部の擁壁高さは34cmにする予定ですが、型枠材は、サブロクのコンパネ(900×1800)を縦半分にカットして使っています。つまり高さが450ミリ弱
生コンが触れる面に「剥離剤」として灯油を塗り、約400ピッチで丸セパを通しています。
上下の桟木は省略し、そのせいで仕上がりのラインが多少波打っていても良しとします。
まぁ、土留めなんで、強度さえあればいいかなと。 目立つ構造物ではないし・・・ 材料費と手間の節約です。(^^ゞ
【関連ページ】⇒ 型枠の作り方
型枠が出来ました。
コンクリート打設中
一輪車(ネコ)で投入するので、画像のようなスロープを移動させながら行っています。 スロープはブロックやコンパネを置いて適当に・・・
一人作業なので、材料をミキサーに投入 ⇒ 運搬・流し込み ⇒ スロープの移動 ⇒ 生コンの突き固め を全部一人でやらなければならないから、かなり充実感ありますね~(笑)
これもなんとか一日ですべて終わることができました。
「コの字」型に擁壁が出来ました。
これがメインの土留めになり、あとは道路までの細かな部分を仕上げます。
「コの字」の内側を埋戻し、砕石を敷いたら、以前のような傾斜地ではなく、駐車場らしい平らな土地が現れた。
待ちきれなくて車を1台置いてみました。 うん、いい感じ(^^)
道路までの残りの部分のコンクリートを追加し、擁壁を完成させます。
本当はここまで一気にコンクリート打ちすればいいんだけど、道路への取り付きが面倒そうで、こういう手順になっちゃった(^^ゞ
ちなみに、ブロックで土留めを作った例はこちら
【関連ページ】 ⇒ ブロックで土留めを作る
擁壁の断面寸法
今回作った擁壁は、すべての区間が同じ断面寸法ではありません。
土地の高低差が大きいエリアに、天端を水平にした構造物を作るわけですから、無駄に地面を深く掘って作る労力と費用をかけないようにしたいと考えました。
「根入れ」の深さがだいたい一定になるよう、A、B、Cそれぞれの区間で断面を変えています。
A区間は土地が低いので、構造物は下に深くする必要があり、ベース部分の高さ寸法は300
B区間は土地が中くらいなので、ベースの高さが150
C区間は土地が高いので、ベース部分を設けず、立ち上がり部分のみ作る
いずれも天端高さは揃えなければならない。(当然か・・)
ABC区間相互は鉄筋でつなぐほか、同時にコンクリートを打って一体化した構造物とする。
駐車場の奥側(擁壁イラストの右側)には、この後ウッドデッキを作る予定なので、ウッドデッキ根太受け材を固定するためのアンカーボルトを、ベースコンクリート打設時に埋め込んでおきました。
出来上がり!
駐車場のコンクリート土留めが完成しました。
奥側(土留め側)は水平だけど、手前の道路はご覧のとおり勾配があるので、道路取り付き部分は、うまく土地の傾斜をつけて道路に擦りつけました。
土留め擁壁のさらに奥は一段と傾斜していて低いため、ここはウッドデッキにしました。
高さの高いコンクリート構造物を作るのは大変だし無駄が多いので、車の後輪がかかる位置まではコンクリート土留めで土地自体を平らにし、その後ろ、つまり人間しか歩かない場所は荷重も少ないため、ウッドデッキにしたというわけです。
【関連ページ】 ⇒ 単管パイプでウッドデッキの基礎を作る
仕上げに天端均し
最後に、擁壁の天端をモルタルで平らに均します。
コンクリートだけだとどうしても天端がザラザラ・ギザギザで荒いのでモルタルで平らにし、タイヤがぶつかっても傷つかないよう、カドをやさしく(?)斜めに仕上げるわけです。
コンクリート天端に水をかけ、十分に吸水させた後、画像のように細長い型枠と鉄筋クランプを使い、モルタルを入れて均しました。 ( これも住宅基礎工事と同じ手順
)
以上、コンクリートで土留め擁壁を作る内容でした。
氏家誠悟(seigo uziie)
2004年からこのサイトを運営している個人です。自分で家2棟、小屋2棟をセルフビルドしました。「自分でわが家を作る本。」の著者です。
元岩手県の技術系職員(森林土木・木材関係)
第二種電気工事士、DIYアドバイザー、林業改良指導員及びバックホー等の重機運転資格が有ります。
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